パンチライン
20年あまり生きていると心に深く刺さって未だに抜けないものがいくつもある。
悲しいものだったり、面白いものだったり。
形や大きさも様々である。
今回は、その中からとりわけ特大の1つについて紹介しようと思う。
それは確か中学時代、仲のよかった女子と話していた時のこと。
話していた内容は思い出せない。きっとたわいもない会話だったように思う。
その時は雑に話を流してしまっていたのだろう。
相槌だけはする中で、鼻にかけたような私のよくない笑い方が出てしまったのかもしれない。
ぼんやりとしていた私の意識を引き戻したのは、彼女が何気なく放った一言だった。
「○○(おにがわら)って、愛想笑い上手いね」
R-指定も卒倒するレベルのパンチラインである。
彼女は京都かイギリスの出身なのかもしれない。
愛想笑いを指摘するだけでもエグいのに、「上手いね」はさすがにやりすぎである。
当時の私は、ただただ逃げ出すことしか出来なかった。
欠点を指摘され、とにかく恥ずかしかったんだと思う。
その日から、彼女と話す時はできるだけ頑張って笑ったし、今でも愛想笑いをする度に古傷が疼くのである。
とてもじゃないが、これは今後も癒えそうにない。
だから、こうして開き直って持ちネタの1つにしている。
破壊力と芸術性を兼ね備えた彼女の一言は、
これからも私を苦しめ、聞いた人を魅了し続けるだろう。