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とってもありがたいことに内定をもらった。

月曜日、内定を知らせるメールをいただいた。映画をみていて、わたしは電話がとれなかったから、メールをくださった。

映画館から家への帰り道、周りにだれもいないことを確認して「わあ」と声をもらした。まさか受かると思っていなかったけど、二次面接でやった課題を頑張ったから、ちょっと受かるとも思っていたのだ。

そこは地方の会社で、とりあえず翌々日には飛行機にのって、会社に関わっている人たちが集まる会におじゃましてきた。

会の1時間前には、代表とお話しをした。正社員の募集は、これまでしたことがなかったらしく、採用の条件は決まっていないという。だからわたしはとりあえず、手持ちの要望をいくつか伝えた。働き方、お給料、それからどんな仕事をやっていきたいのかなどを話しているうちに、新卒で入った会社で挫折をしたことまで話していた。今から振られてしまったらどうしようと、一瞬よぎる。

けれどもそんな勘に反して、代表は自分の思っているよりもわたしを評価してくれていた。それは夜の7時からはじまった会のなかで、ひしひしと伝わってきた。

だけれども、わたしはまだ決めきれずにいる。帰りの飛行機では、食欲がなくなるほど、今もずっと悩んでいる。悩んでいるポイントは、いくつかあるけれど、食欲がなくなるほどわたしがプレッシャーを感じているのは、あるトラウマがあるからだ。

それは大学生のとき、今から3、4年前の出来事だ。

通っていた大学では、2年生からゼミがあった。わたしは運よく、面倒見の良い教授のところに入ることができた。先に断っておくと、今でもこの大学に入ったのは、このゼミに入るためだったのだと思うくらい感謝している。教授との出会いやそこで学んだこと、そして同期のみんなはわたしの宝物だ。

教授は愛があって、厳しい人だった。放任しているようで、同期もふくめてとても見ていてくれる。

指摘されることもしばしばで、その伝え方こそは共感できなかったが、言われたことはいつも図星だった。ダーツのまんなかに正確に刺さる感じと似ている。

その指摘のひとつとして、いまだに改善できていないこと、それは「センスがないこと」だった。

ここでいうセンスとは、お洋服のコーディネートなどではなく、物ごとを決めることへのそれである。

購入したiPhoneの色とか、ビジネスコンペのお題選びとか、そういう些細なことの失敗でも落ち込むのに、より人生を左右する決定をするときではなおさらだ。

だから就活の会社選びが、一番こわいのだ。どうしても、仕事は人生を左右してしまうから。

自分が心身ともに健康で働けるような会社を、選びとることができるのだろうか。もしかしたら、自分には合わず委縮するような会社をまた選んでしまうかもしれない。気を抜くと、よくない未来ばかりが思い浮かぶ。


代表との話のなかで、正式なお返事は1週間後までにすることになった。

この期間、わたしは「内定をくださった会社に行くか、行かないか」を決めることだけをすればいいと思うことにした。

本を読んだり、思考を紙に書き出したり、視野が狭まりそうになったら、ほかの会社への応募を進めつつ、ときには誰かに頼りつつ。


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