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Photo by
kubochi___
わたしにとっては突然で、相手にとっては必然で。
お正月、我が家は祖父母宅にいくのが恒例となっている。その1か月後、祖父は亡くなった。
とても突然だった。1社目の会社を辞めた直後で、パソコンで履歴書を書いていたとき、出張中の父親から電話がかかってきたのだ。
「じっちゃんが亡くなったって」
聞いてから、履歴書をかきつづけることは難しかった。
だってこないだ、ついこないだ会ったばかりなのに。あんなに元気だったじゃない。いつかは、と予想していたけれどもっと心の準備をする時間があると思っていたのだ。涙が止まってふたたび履歴書を書こうとしても、また出てきて、止まってもやっぱりまた出てきてしまう。
それからもう半年がたつ。
人が亡くなると、親族がやることが多い。わたしたち遺族は、その過程で祖父が生前にやっていたことをぽつぽつぽつと知ることになった。
きっと、祖父はわかっていたのだ。自分があまり長くないと、準備していたのだ。
わたしたちは突然だと驚いたけれど、祖父にとっては必然だったのかもしれない。そんなことを、このエッセイを読んで考えていた。