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地域おこしのニューノーマル

中村茉由(第27期 片品村 北毛茶屋 片品村地域おこし研究会主宰 N3開疎化プロジェクトリーダー)

コロナ禍の中、価値観に変動が起きています。暮らし方、働き方、学び方、交流の仕方、観光のあり方、社会の激変に過疎化が進む地域はどうしたら変化についていけるでしょうか。

私は群馬県片品村に5年前、「地域おこし協力隊」として移住してきました。隊員は私を含め6名で、片品村にとっても私たちが地域おこし協力隊を受け入れた初年度で、お互いに手探りの中でスタートしました。協力隊の3年間は「農」と「食」の地域おこしを軸に幅広く活動させていただきました。人の縁に恵まれ、片品村だけでなく群馬県の広域に人脈やネットワークを広げることができました。3年間の任期後「農」と「食」の地域活性化をテーマに「北毛茶屋」を起業した。空き店舗の活用と移動販売「co.chaya」を使って地域内外で山里の旬の味を囲み、人と人とのつながりをつくれるような活動をめざしました。合わせて片品村地域おこし研究会を立ち上げ、有識者の先生のお力も借りながら地域活性化について学んだり、話合うプラットフォームづくりを続けてきました。

片品村の人口は、私が移住してきた2015年の約4700人から、2020年約4300人にまで減少しています。その中でも特に転出が多く、人口割合が低いのは20〜30代です。このままでは10年後に今の観光と農業の村の形態を維持するのが難しくなる可能性が高いと感じています。

このwithコロナの時代感の中で、特に都市部での生活や働き方に疑問を抱いたり、不安を感じている人が多くいるかと思います。
私自身の経験から、地縁も血縁もないこの村にIターンで移住し、起業し、定住・定着に向けた取り組みをし続ける中で、小さな自治体だからこそできることがあると感じました。1人のインパクトが大きく、減少社会の中で活躍の可能性はあります。

私は、自分の暮らす地域である片品村から、利根沼田、群馬が20〜30代の女性の力を充分に活かせる地域になればと考えています。自分たちが豊かに暮らすための環境、産業を創り、価値化していくことが必要です。新しい日常に合わせた製品づくりをこの尾瀬の郷 片品村からしていければと考えています。

そこで取り組み始めたのが開疎化プロジェクトです。コロナ禍で密がリスクとなったからこそ、今まで過疎地域とマイナスがプラスに転じる可能性が高まりました。自然が豊かで人が少ない地域でも、地域に暮らす人や取り組みの窓が開いていく事で、今までは機会のなかった人材が地域に入ってくる可能性がこれまでよりも高くなっています。テレワークやワーケーションの需要を捉えて新たな顧客層を捉えていくのはもちろん良いのですが、この危機をチャンスに変えていくためには長期的に地域の担い手となる人材をこの機に引き入れ、中長期的に育てていく地盤を急速に整備することではないでしょうか。

自身の経験からも、特に女性は20代の後半から今後について考え、その後の人生の転機となる機会が30代前半頃までに訪れるように思います。「農山村の暮らしを楽しみ、生き活きと暮らす女性たちが増える地域のプラットフォームがつくれれば、地域の持続可能性は高まるのでは」という仮説の下、社会実験を行っています。今のところ、かなり可能性を感じています。群馬県の多くが農山村エリアであり、過疎化が進んでいますが、群馬が開疎化の先進地となるようなネクストぐんまを皆さんのお力を借りながら目指していければと思い描いて、これからも日々小さな挑戦を積み重ねていければと思います。

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