#17 - プロジェクト品質管理の必要性
開発プロジェクトを実施するためには、実施すべき内容を把握して見積もりを実施し、お客様から発注をいただく必要があります。また、プロジェトク開始後は定期的なお客様への報告や最終納品を実施し、お客様による検収が終了して全ての工程が終了することになります。もちろん、契約不適合条件(瑕疵担保責任)が契約書に記載されていれば、その後の期間もフォローが必要になりますし、アウトソーシングの場合は、保守の範疇での対応が必要になります。
ある時から品質管理も仕事の一つとして担当する部門のリーダーになった後、それまでの品質管理プロセスが見直されていないことに気づきました。品質管理プロセスは定期的に見直さないとそれ自体が陳腐化し、プロセスそのものが形骸化します。そこでメンバーとともに会社の特徴なども考慮しながら最新化していきました。かなりの期間見直されていなかったので、隅々まで見直す必要がありました。
すでに、見積もりやプロジェクト開始、途中、終了時点の要所要所の各レビューの名称などもグループ会社全体としては名称変更されていましたが、使い慣れた名称の方が運用しやすく見直し後の混乱を避けようということで、名称変更はせず、それよりも重要な規定の最新化やチェックリストの最新化を手掛けました。当時は、会社独自に規定を作成していましたが、グループ会社としては原則一つの規定に統一し、各グループ会社では、その規定の運用を実施するというプロセスに変更されました。これは、グループ全体として規定が複数存在するとその更新などが統一できず、プロセスが複数存在して複雑になるということであり反対する理由はありませんでした。ただし、アウトソーシング内の一つ一つの案件に対する品質管理については細かな記述がないため、我々の会社としての運用手順としてまとめることになりました。その後、微修正は実施してきましたが、今日運用している内容は大きく変わっていません。
品質管理チームで実施すべきことは、「会社として規定された手順を逸脱していないか、また、お客様に見積もり回答で納品物として提示したものはアウトプットされているか、課題や問題などは管理されているかなどプロジェクト計画で定義した内容やスケジュール、予算消化状態を確認し、必要なら是正してもらうこと」になります。
設計した内容が正しいかとかプログラムの標準化は守られているかというような内容を確認するものではありません。これらは、プロジェクトチーム内で確認してもらうことになります。つまり、内容が正しいかどうかはチーム内やお客様と協業で確認して、品質管理チームは、第三者の目として、お客様との約束事との乖離を防止するため、必要な手順を遵守してプロジェクトが進んでいるかを確認することになり、会社としてプロセスや資料を確認しましたという大きな意味を持ちます。
これにより、プロジェクトマネージャが個人として責められることがないようになります。品質管理チームが知らないところでプロジェクトマネージャが勝手に進めて納品するようなケースを発生させてはならないのです。プロジェクトマネージャにとっては、社内の品質管理レビューを受けるということは、会社として仕事を実施しているという保険のようなものだと考えてもいいでしょう。
品質管理のプロセスや制約などは、業界の環境や自社の方針や業績などに左右されることがあります。例えば、オーバーランのプロジェクトが増加傾向になれば、品質管理レビューを実施するプロジェクト・サイズ基準を小さくしたり、お客様からのクレームが増加すれば、納品物の内容がチーム内でレビューされているか、期日が守られているかを、それまでより厳しく確認してみたり、会社の利益が下がってきたりした時は、リスク管理がしっかり実施されているかを重点的にみたりするようなことが発生します。いずれにしても、より良い結果をお客様に提供し、自社の利益も確保できているかということにつながる確認を継続的に実施するということになります。
規定通りの資料などを作成してレビューしてもらうのは非常に手間であると同時に精神的プレッシャーもありますが、チームやお客様、そして会社と自分のためには必要なプロセスと思ってプロジェクトを推進してもらうための会社としてのプロセスなのです。
会社内のプロセスは大体が面倒だと思うことばかりではありますが、会社として健全に運営し社員を守り、お客様の信頼を裏切らないために作られています。なので定期的な見直しは、その部門の責任者としては実施しなければならないのです。これは品質管理のみではなく社内に存在するプロセス全体に言える話です。もちろん、見直す際は必要性を最初に検討することが必要だと思います。プロセスは簡単であればあるほど運営しやすいものです。