F・Gあたりがドになる調
これで調号15種類のうち、11 種類まで移動ドで読めるようになっているはずである。残りは4種類。
今まで説明してきた調はCの近くにドがくる調ばかりであった。これらの調で点打ち法で点を打っていると、点を打っているうちに次の小節が目に入って、「次の小節の点はここだなぁ」と思い浮かぶようになるだろう。
そうなればしめたもので、点を打たずとも「おぉ、見えるぞ、点が見える!」という状態になって、点があるはずの位置を目で追うだけで読めるようになるだろう。
しかし、残りの四つの調号はドの位置がCから少し離れた位置にくる。点を打つこと自体は離れていても問題なくできるのだが、最終的に点を打たずに読む場合に「点があるはずの位置を目で追う」のがちょっと難しい。その調号とは以下の四つである。
シャープ1個 ト長調(G dur、ホ短調・e moll)
フラット6個 変ト長調(Ges dur、変ホ短調・es moll)
シャープ6個 嬰ヘ長調 (Fis dur、嬰ニ短調・dis moll)
フラット1個 ヘ長調(F dur、ニ短調・d moll)
シャープ・フラットがひとつのト長調とヘ長調はよく見る調だろう。点打ち法だと読みにくいからというのもあるが、よく出てくる調なので素で読めるようになっておいた方が何かと便利だ、という理由もある。
どうでもいいことだが、この駄文は会社帰りの電車の中でiPhoneで書いている(図がないのはそういう理由)。そのせいでひらがなのヘとカタカナのヘの区別が理不尽に難しい。もしかするとひらがなになってあるかもしれないが、もちろんカタカナで書くのが普通である。へちまと打てばひらがなが、ヘリコプターと打てばカタカナが出るはずだが、面倒くs…
点打ち法以外でどう読むか。といっても特別なことはなくて、ハ長調のときと方法は同じである。つまり、まずは調号からドの位置が分かったら、そこからソの位置を確認して、「ここがソ、ここがソ」と強く心に念じてから読むだけである。
ドとソは分かっているわけだから、ドのすぐ上がレ、すぐ下がシ、ソのすぐ上がラ、すぐ下がファ、そしてドとソのちょうど真ん中がミである。
私の場合、「ここがソ」と念じておかないと、ヘ長調とト長調がごっちゃになってしまう。特にC・Dあたりがあやしくなる。ヘ長調なら「ソはC、ソはC」と念じておけばCはソだし、Dは自動的にラになる。ト長調なら「ソはD、ソはD」と念じておけばDがソでCは自動的にファと読める。
これが移動ド読み前夜で書いた、F/Gあたりが主音になる調の私の感覚である。これと上下読みを併用すればもっと楽に読むことができるだろう(実際、無意識のうちに併用している)。
なお、嬰ヘ長調と変ト長調はもちろん平均律では異名同音の調になる。これらはヘ長調・ト長調を半音上げ・下げしただけなので、基本的には調号のことを忘れてヘ長調・ト長調だと思って読み、実際の出音を半音上げ・下げすれば自動的に階名唱になる。
ヘ長調の場合、調号はフラット1個だから、右から2番目のフラットがド、というルールは使えない。しかし、とてもよく出てくる調なので、そのうちフラットが1個なのを見た瞬間に、FがドでCがソ、と認識できるようになるだろう。
臨時記号の読み方も今まで説明してきた通りで特別なことはない。
これで調号は全部完了である。