学校事務の仕事と自作解題 ~学校給食×学校事務×ロック=無償化!?~
↑今年初めにリリースした楽曲、「学校給食ノスタルジア」。タイトルの通り、学校給食について歌った曲です。個人的にはかなり思い入れのあるテーマで、現在制作中の新曲も遠からず給食に関係があるものです。学校生活において、そして学校事務においても給食は大きなウェイトを占める分野ですので、この曲の制作にも並々ならぬモチベーションで挑みました。
給食=休憩時間?
他の国のことを調べていないので「日本が誇る文化」と言い切れるかどうか分かりませんが、食育基本法や学習指導要領を参照すると、給食はただおなかを満たすだけでなく、教育の一環として位置づけられていることがわかります。学習指導要領上では、給食=学級活動であり、教育課程の一部になっています(授業時間の数には含まれません)。つまり、席替えしたりする学級会やクラブ活動なんかと同列の扱いですね。なので、子どもと一緒に給食を食べている担任の先生は、給食の時間も休憩ではなく給食指導という業務を遂行中ということになります。じゃあ先生って休憩時間なしなの?という疑問がわきますが、労働基準法では必ず45分の休憩時間を設けないといけません。おそらく、多くの学校では、子どもたちが下校したあとに休憩時間を設けているのではないでしょうか。私も学級担任をしていた頃は当然に給食指導にあたっていましたが、一般的な会社員の方が昼休憩に外にランチを食べに行くという普通の光景が大変うらやましく思われたものです。
給食費は先生も払っています
給食も仕事とはいえ、給食費はちゃんと先生自身も払っています。校長先生は「検食」といって、子どもよりも先に給食を食べて「うん。今日もおいしい!」と確認するのが仕事ですが、もちろんそのお金も校長先生自身が払っています。歌の中にもあるように、全国的には一食200円~300円ぐらいまでかなと思います。仕事の一部というのはさておき、栄養士さんがきちんと考えたバランスのとれた、しかもヴァリエーションに富んだ献立で、質の高い国産の材料で、厳しい衛生管理基準のもと調理員さんが作ってくれた給食を毎日この金額で食べられること自体は学校に勤める最大のメリットかもしれません。普通に過ごしている分にはまずお目にかからないメニュー、給食でしか食べたことのないメニューはたくさんあります。なぜこんなに安いかというと、給食費は基本的に食材のみの値段で(それも市町村単位の発注なのでスケールメリットもあります)、人件費や施設その他もろもろにかかってくるお金を自治体が負担してくれているからなんですよね。
いま公会計化・無償化
大事なことなのでサビのフレーズに入れた公会計化と無償化。
noteの読者の方の中には、子どもの頃、集金袋に現金を入れて給食費として先生に渡していた記憶のある方もおられるかもしれません。一食2,300円とはいえ毎日食べるものなのでそれなりの金額になり、それを小学生が毎月もってきて先生がそれを全員分集めて・・・・・・というプロセスで事故が起きないわけがなく、トラブルもよくあったと聞いています。
私は現金集金は経験がないのですが、学校事務職員として銀行の口座引き落としで給食費を集めていました。これが割と大変で、毎月銀行に口座引き落としの手続きをすることはもちろんのこと、全員がそれで集金できるわけもではありません。「あっ銀行にお金入れとくの忘れてた」とよくある残高不足のために督促を行ったり、どの家庭から集金済でどこからまだいただいていないかといった管理を全校児童何百人分しないといけません。
そうした学校現場の苦労を思いやっていただき、水道代みたいに市がまとめて集金してくれることになったのが「公会計化」です。税金みたいに自治体が扱うお金を「公金」と呼び、その会計を公会計といいます。学校では税金は扱えないので、学校で集めていた給食費は「私会計」と呼びます。
この「公会計」化が多くの自治体で採用されることになってハッピーだったところにやってきたのがコロナ禍。新型コロナウイルス対策でできた地方創生臨時交付金を元手に、給食費を無償化する自治体が急増しました。給食が年に180回程度あると考えて、4万円以上の保護者負担軽減になるのでこれはさらにハッピー。これまでかかっていた集金コストの削減も考慮するとずいぶん効果的な政策だったのではないでしょうか。
ただ、これも交付金があってこそ実現したという側面から、自治体によってはまた有償に戻ったところもあります。
前回の記事でも、定額減税を引き合いに「あげるより取り分を減らす方が楽」と事務担当者の感想を書いていましたが、みんなハッピーな給食費無償化。今後も検討してもらえるといいですね。