学校事務の仕事と自作解題 ~(かつては)児童手当現況届の季節 そして10月からは拡充へ~
6月は児童手当の現況届を出す季節でした。「でした」と過去形なのは、ほとんどの人にとっては2年前から出す必要がなくなったからです。ただ、公務員は一般の方と違って勤務先から児童手当をもらうことになっていますが、その勤務先によってはまだ現況届が必要なところもあります。私のところもそうです。
歌詞がすぐ古くなる「扶養グラデュエイション」
冒頭の曲は音楽事務検討委員会の卒業ソング「扶養グラデュエイション」です。児童手当が支給終了したりとか、15歳での義務教育終了のタイミングで
対象となる制度がいろいろ切り替わるのを中学校の卒業に絡めて書いた歌で、エモい感じがでけっこう気に入っています。が、子どもがらみの制度はわりと頻繁に変わるので、この歌詞もまた現実から離れつつあります。先の記事で書いたとおり、それはそれで歴史の証言としての意味があるのでそのままにしています。制度が変わってしまうと前はどうだったかというのは案外あっさり忘れてしまうものです。なので私は(特に自分の損得にかかわることは)執念深く覚えるようにしています。例えば、住宅ローン控除は自分は損したなあ。と思っている世代です。自宅を購入した当時は一時的に景気が上向きかけた頃で、「来年から住宅ローン控除がなくなる」なんて真面目に言われていたりしました。もちろん実際はそんなことはなく、むしろ充実してきて現在に至ります。住民税からも控除されるって自分の購入時には夢にも思いませんでした。税金や社会保険料が上がったり、逆に税控除や給付金が充実したり、制度は損する方得する方いずれにもコロコロ変わりますが、給与担当たる学校事務職員はその知識を絶えず更新しないといけません。
減税も拡充もうれしいけど
最近ニュースになったことでもう一つ、定額減税があります。所得税3万円、住民税1万円をおまけしてくれる。という制度ですが、ニュースでは企業の給与担当者からの怨嗟の声がちらほら聴かれます。臨時に支給される給付金の際もそうでしたが、シンプルな制度設計はいかにして可能か?ということをいつも考えます。今回の定額減税は人によって額やおまけされる月数が違ったりするのが難しく見える理由のようです。経験上、給付のように何かもらうのよりも減税のように取り幅を減らすものの方が事務コストが小さいので歓迎したいのですが、給与担当者もみんなにも、わかりやすい制度であってほしいなあと思います。
何かもらうものの方で代表的なのが児童手当ですが、自動的に引いてくれる減税と違ってこちらは子どもが生まれたときの請求と、それから毎年の現況届を出さないともらえません。このように、もらうものについては事務コストが倍かかります。しかも、上記のとおり公務員は勤務先からの支給なので学校の先生の児童手当は学校事務職員が扱っています。先生にお子さんが生まれておめでとう。うれしいね。そんな気分になる一方、児童手当の請求期限(生まれてから15日以内)に書類が間に合うよう、カレンダーに大きく印をつけたりして支給事務を行っています。
10月から拡充の児童手当。高校生まで1万円。3人目は3万円。所得制限なし。
ニュースで見聞きした児童手当の拡充案の中で、一番魅力的に思われたのが高校生まで1万円もらえる。というところです。これはありがたい。児童手当の現況届には支給対象ではないものの、高校生の子どもの名前も記入します。子どもの数の算定対象だからです。もらえないから現況届に高校生の子の名前をつい書き忘れてしまったりするんですが、高校生ももらえるんであればそんな間違いもなくなるでしょうね。
3人目の倍増3万円。もありがたいですね。所得制限なし。については、公務員の給料で制限にかかるのをあまり見たことがないためにそれほど拡充という実感はありませんが、まあよかったということで。
子どもを対象にする制度は、学校の子どもたちに対して。と。教職員の家族に対して。と両方の意味があり、学校事務職員にとって特に覚えておきたいものになります。ちょっと昔のものになりつつありますが、「扶養グラデュエイション」を聴いて理解を深めてくださいね!