こんなぼくがスラムダンクを好きになるまで
漫画=悪の家族
ぼくは、漫画をあまり読まない家に育った。
親の影響だ。
『ドラえもん』以外の単行本はなかったし、
ジャンプ・マガジン・サンデーの三大週刊誌や
コロコロ、ボンボンも読むことはなかった。
なんせ車の運転の方法はドラえもんで学んだのだ。
ぼくがちゃんと漫画雑誌を読んだのは、
入院中に読んだジャンプ。
当時は『キン肉マン』ではなく『スクラップ三太夫』が連載されていた。
ちゃんと漫画が許されたのは中学のとき。
初めて読んだのは『マガジン』。
『金田一少年の事件簿』の悲恋湖伝説殺人事件の最終話だ。
『特攻の拓』『風のシルフィード』『シュート!』
たくさんの作品に、ぼくはジャンプではなくマガジンからハマった。
なので、いわゆる『幽遊白書』『聖闘士星矢』や『ダイの大冒険』『シティハンター』や『魁!男塾』などのジャンプ漫画はほとんど読んでいない。
スラムダンクも、ちゃんと読んだのは社会人になってからだ。
スラムダンク=木暮くん
アメトークという番組がある。
このとき、僕は確か麒麟の川島が言ったことを忘れられない。
「木暮は部活で輝けなかった人間の代弁者なんですよ」
(細かい部分は違うかもしれません)
麒麟は田村がバスケが上手い。
それだけではないだろうが、僕が『SLAM DUNK』を手に取ったとき、
最初に目を奪われたのは同じく身長の低いリョータだが、
そのうち、木暮公延にしか目が行かなくなった。
木暮公延。
映画がヒットした今でも「小暮」と誤字されがちの彼
(「小暮」はデーモン閣下だ)。
湘北高校を全国一にするために入部した赤木剛憲と違い、
体力づくりのために入部した、「メガネ君」。
赤木のような身長もない。
三井のようなバスケセンスもない。
リョータのような突破力やパスセンスもなく、
花道のような恵まれた体格や吸収力もなく、
ルカワのような天才でもない。
それでもぼくは、木暮に憧れた。
ぼくが高校で最初に副キャプテンに立候補したのは、
正直に言えば、木暮と「Herlem Beat」の桜井が副キャプテンだったからだ。
名場面は山ほどある
木暮の名場面は山ほどある。
ある人は「夢見させるようなことを言うな!」と言うだろう。
ある人は「泣かせるなよ…問題児のくせに」と言うだろう。
そして多くの人は、「木暮フリーだ!打て!」の陵南戦のスリーを、
彼の最高の一瞬というだろう。
ぼくは、木暮のすべてを好きだからこそ、決められない。
唯一花道に呼び捨てにされず
「メガネ『君』」と呼ばれる人格者である
背番号5を背負う彼が、
きっとぼくは大好きなのだ。
バスケット漫画の全て
スラムダンクは、ジャンプでバスケット漫画は流行らないという
過去を打ち破った作品と言われる。
スラムダンク、
あひるの空、
黒子のバスケ、
ハーレムビート、
アイル、
ハイファイブ、
リアル、
Dear BOYS。
多くのバスケ漫画は、スラムダンクを越えられないと語られる。
それでも、多くのファンが居て、
そして、多くのバスケットマンは、
赤木を、流川を、花道を、
リョータを、三井を、
あるいは牧を、仙道を、藤間を、花形を、魚住を、
山王に、愛和に、名朋に、豊玉に憧れ、
バスケットを続けていくのだろう。
そんな彼らを支える
木暮のような人間になりたい。