Mura Masaが描くティーンの気持ち
昨年グラミー賞を受賞したMura Masaの新作が凄まじくかっこいいので思わず筆を取りました。
1曲目のタイトル通りRawなギターやドラムのサウンドがこの2020年にとっても新鮮に響きます。かっこいい曲が目白押しなのだけれど、中でもラッパーSlowthaiとのコラボはいかにもUKなクセの強い1曲で、The Streetsの2004年の傑作『Grand Don't Come〜』を思い出さずにはいられません。
アルバムリリース前に公開されてきたMVの数々も見応えあり。El GuinchoやRosaliaとの仕事で定評のあるCANADAプロデュースのMVは特にクールです。映像のクオリティは保ちつつ、これまでのアート感満載の作風から変わってリアルな日常の中の狂気をえぐる新境地を拓いています。
それにしてもNo Hope Generationとは…痛烈なタイトルです。Brexitで揺れるUKで青春を過ごすティーンの間では、もしかしたらそんな諦めの気分が大勢を占めているのかもしれません。ですが混沌の時代だからこそ、こうした表現者が今年は数多くリリースをしてくると僕は見ています。そして優れた作品が今の若者たちを鼓舞してくれると信じています。現地の状況は心配でありつつも、カルチャー面での盛り上がりに胸が高鳴ります。日本の現状と比較して、どこか羨ましい気持ちもあります。