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1.02 Weekly Report Vol.608

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1.DELTAの目線 〜投手WARのリプレイスメント・レベル変更から見えてくること〜

 DELTAでは先月、総合指標「WAR」についてのアップデートをいくつか行った。球場ごとの影響を考慮するパークファクター補正値、異なるポジション間の比較に用いる守備位置補正値の付与方法など、細かい部分ではあるがより正確な選手評価には欠かせないアップデートだ。

いくつかの変更点の中でも特に影響度が大きいのが「投手のリプレイスメント・レベルの変更」だ。今回のver.2.0.0へのアップデートでは、DELTAアナリストの二階堂智志氏が『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート6』内で提案した基準を採用。この変更によって基準となるtRAが低下、つまりリプレイスメント・レベルが引き上がったことになる。また、それに伴って投手全体のWARが縮小している。

アップデート前後で2023年のリーグ別投手WARを比較してみよう。セ・リーグは122.6→62.9WAR、パ・リーグは121.8→61.3WARに縮小。どちらのリーグも元々の半分に近い数値となっている。投手リプレイスメント・レベルをより実態に即したものに近づけた結果、過去の算出方法だと投手の貢献度が過大に反映されていたことがわかったのだ。

投手WAR全体に大きな影響があるということは、チームや選手の評価にも当然影響が及んでいる。従来とは違った評価となる選手も出てくるだろう。アップデートからは少し時間が経ってしまったが、今回は投手リプレイスメント・レベルの変更によって新たに見えてきたトピックをいくつか紹介したい。

WARが大きく縮小したのはどんな投手?

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