見出し画像

スイーパーに続くトレンド?MLBでひそかに流行する“ディスコボール”とは何か

本記事は野球データサイト1.02が毎週お送りする有料メルマガを個別販売したものです。データサイト1.02、メルマガへのご登録はこちらから 。https://1point02.jp/op/reg/mailreg.aspx


MLBでは過去10年、トラッキングデータのバックアップを受けて、これまでにはない新たな投球トレンドが生まれてきた。高めのストレートやスイーパーはその象徴的なものだ。トラッキングデータの登場により打者を抑えるノウハウは現在進行系で更新されている。そしてスイーパーの登場から数年経った現在、どうやらすでに新たなトレンドが生まれているようだ。DELTAアナリスト・宮下博志にすでにトレンドになりつつある変化球“ディスコボール”について聞いた。

チェンジアップは“抜く”時代からより“落ち”、より“曲がる”時代に

―近年チェンジアップに新たなトレンドが生まれているという噂をお聞きしました。これはどういったものなのでしょうか?

宮下:はい。確かに近年はこれまでとは異なる特殊なチェンジアップが流行しつつあります。従来のチェンジアップはそれほど変化量が大きくないがタイミングをずらすために投じられる球種というニュアンスが強くありました。

―たしかに同じ落ちる球であるフォークなんかと比べると変化量が大きい印象はありません。

宮下:はい。それが現在はより大きく落ちる、あるいは大きく曲がる。縦、あるいは横へ非常に変化量が大きいチェンジアップがより多く投げられるようになってきつつあります。

―たしかにチェンジアップというと打者のタイミングを“抜く”ニュアンスが強い印象です。その球種に変化量が求められているんですね。何か傾向の変化を表すデータはありますか?

宮下:MLB全体のデータを見ても傾向の変化はわかりやすく表れています。MLBにスタットキャストが導入された2015年と比較すると、チェンジアップの横方向の変化量は、2015年の12.6インチ(約32.0cm)から14.2インチ(約36.0cm)へ、約4cm増加。一方で、縦方向の変化量は7.7インチ(約19.6cm)から5.3インチ(約13.5cm)に減少。つまり約6cm落ちるようになりました。全体的にチェンジアップはより大きく曲がる、またはより大きく落ちる球種へと変化している様子がわかると思います。

―一部の投手だけの傾向かと思ったのですが、全体で見てもこれだけ変わっているのですね。

宮下:代表的な投手としてブリュワーズのデビン・ウィリアムズのチェンジアップを見るとわかりやすいかもしれません。彼の“エアベンダー”と呼ばれるチェンジアップはこうした近年のチェンジアップのトレンドの象徴的なボールと捉えられます。

―たしかにシンプルに落差が大きいように見えます。フォークのように思えるほどです。また三塁方向に逸れていく軌道のものが多いですね。

ここから先は

3,577字 / 1画像

¥ 200

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?