1.02 Weekly Report Vol.643
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1.DELTAの目線 ~2025年セイバーメトリクス大予想。分析範囲は脳の領域にも~
2024年は野球界におけるデータ活用が新たな段階に進んだ1年だった。シームシフトウェイク(SSW)が完全に市民権を得たのに加え、バットスピードや骨格データといった新たな指標が次々と導入され、野球を取り巻くデータ分析はさらに高度な領域へと進化しつつある。大きな変化があった2024年を受け今年はどのような変化が起こるのか、多くの人が気になっているのではないだろうか。DELTAアナリストの宮下博志に2025年の野球界を形作るであろう新たな潮流について聞いた。
活用が進む関節データ。求められる人材の高度化
ー前回のインタビューでは2024年の野球界におけるイノベーションについておうかがいしました。それを踏まえて、2025年、今年はどのような進化が起こるとお考えですか?
宮下:スイングや関節のデータの研究が進展し、現場レベルで本格的に使われていくと考えています。これらのデータは昨年の段階でさまざまな研究結果が発表されはじめましたが、まだ基礎段階。今年はどう使えば現場で活かせるのかという、具体的な活用法が明らかになる年になると考えています。
ーなぜそのように考えられたのでしょうか。
宮下:当然ですが、1年分のデータでは年度間の相関を測ることはできません。しかし、昨年のデータと今年のデータがあれば年度間の比較が可能になり、相関があるかどうかも見えてきます。また、単純にデータが蓄積することで、傾向が浮き彫りになる部分もあるでしょう。これらの精査が進むことで、どのデータがより重要な意味を持つのか、あるいは意味を持たないのか、といった取捨選択が進んでいくのではないかと考えています。
ーなるほど。スイングデータや関節のデータに関する解像度が向上してくる、という理解でよろしいでしょうか。
宮下:はい、そのとおりです。同時に、これらの物理的な運動データを活用できる人材の重要性もこれまで以上に高まってくると思います。
ーとなると、これまでよりも野球データを活用する人材に求められるスキルが1段階上がることになりそうですね。
宮下:そうですね。これまでの野球データを扱う人材に求められていたのは、試合中に取得されたデータを効果的に整理し、分析する能力でした。しかし、これからは単にデータを扱うだけでなく、映像を通じて物理的な現象を正確に捉えるスキルが必要になってくると考えています。たとえば、投球に関しては、ボールの回転数や変化量をデータとして分析するだけでなく、実際の投球軌道そのものにもとづいてアプローチする方法が求められるようになるでしょう。
ー投球軌道をもとに投球を捉えるというのは、どちらかというとプレーヤーの視点に近い印象を受けます。
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