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新潟県知事選挙の敗戦の検証(5) - 今回の選挙の総括そして「真の野党共闘とは」 -

新潟県知事選挙の敗戦の検証を全5回で執筆してきて、今回は最終回です。

前半では今回の選挙の総括をし、後半では「真の野党共闘とは」について考えます。

後半にて「日常活動と選挙活動ですべきこと・NGなこと」をまとめた24ケ条の表もご紹介します。

まず、今回の選挙は敗戦であって、応援した私たちは大いに悔しがるべき検証(1)以来、私は申しています。

ただ、悔しがることと、犯人探しに走ることや、まして自虐論や、陰謀論に手を染めることは、全く別です。

最初下記の時事通信の「共産が前に出すぎた」という報道を見て、「いやそれは言い過ぎでは。共産の尊い努力に敬意を表するべきでは」と私も感じた一人です。

その後、枝野代表が「全く逆で報じられた」と火消しのツイートをされ、ほっとしました。新潟県知事選の池田陣営敗戦に関して、今週はやや落ち着きない論調の記事が目立つ感じがします。

「池田ちかこさんは県議だったが、国会議員を当てるべきだった」との記事も拝見しました。ですが、これまでの原稿にて私が再三申しております通り、ご本人は地方行政と地方政治で37年間のベテランで強い胆力そして独創性の持ち主です。このような稀有な才能をシンデレラとして抜擢してどんどん当選させるプロデュース力が野党に求められています。資質ある人がいれば別ですが、役職重視で元or現国会議員を当てていく従来の手法はもう古くなっていて、今や有権者から幅広い共感を得られないのではと思います。

不正選挙だ」と今回もツイートする方を選挙中から散見します。ですが、開票プロセスは厳密を期されています。不正選挙の訴えが納得され、一般世論に広がっていく状況にはありません。むしろ、誤解を恐れずに申せば、不正選挙と疑う暇があったら、「応援する候補が大勝利するよう、無党派層に響く発信は何か」と一分一秒を惜しんで、より動くべきではと私は思います。

投票用紙計数機のムサシが疑わしい」という声も以前の選挙からお聞きします。ですが、そこまで疑念を感じられるならば、自ら投票用紙計数機を製造する会社を起業して、「こちらならば正確です」との普及活動を開始されないのはなぜなのか、理解に私は苦しみ続けています。

さらに、「開票してすぐに当確が出るのはおかしい。陰謀だ」という声も拝見します。ですが報道各社には統計学の専門家がいて、現地取材はもとより、投票率や出口調査等を踏まえた統計計算をすれば高い精度で当確は打てます。日中段階で選管発表の途中経過の投票率から勝敗が明白になることもあります。そして、万一報道機関が誤った当確を打ったら、陣営等幅広い関係者から猛クレームがくるので、当確打ちは大注目のスクープ性が高い一方で、正確を期すために相当の重圧で報道各社はやっています。

決して陰謀論に言い訳を求めるのでなく、勝負は勝負として、選挙結果が出たら粛々と受け入れましょうと申し上げたく思います。

当選候補の努力を讃えて、そして敗因の分析と再発防止のための活動にすぐ着手するべきなのです。

今回の結果は確かに敗戦であり、とはいえ3.7万票差は惜敗の範囲と私は考えます。下記はNHKの最終確定情報です。

この検証では、これまで4回の原稿に渡って「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と、池田陣営そして野党共闘の今回の敗戦の原因をご一緒に考えてきました。

確かに池田陣営は準備不足や、選挙戦突入後も追いついていないことが多々出て、苦戦が続いた選挙でした。今回の検証にて多面的に申しておりますように、花角陣営は、選挙戦略のメッシュが細かく、人の心を捉える努力をものすごくしていたのです。

ですが、そうであっても、今回の新潟県知事選にて花角陣営そして自民党本部も大苦戦していたのです。当選の記者会見で花角氏が「こんなにも大変な選挙になるとは全く思っていなかった」と吐露するほど、追い詰められていたのです。

本来ならば公明が自主投票を改めて、自公で選挙すると決まったら、選挙期間中にも池田陣営を引き離して、投票日で圧勝という展開に持っていきたかったものの、今回は選挙戦最終日まで花角陣営と池田陣営とずっと拮抗し続けました。新潟県内で公明で運動する人々は「池田に負けている」と感じながら、終始自信を感じられない選挙だったのです。

花角陣営が選挙戦序盤で得意とする(とはいえ羽越新幹線構想等、ミステリアスですが)の経済政策を訴えるポスティングをしても、空振りに終わりました。

そして、追い込まれていった花角陣営は、「脱原発を目指します」「3つの検証が終わるまで再稼働の議論はしません」「再稼働の是非は県民に是非を問います」と投票直前の全面広告を打たざるを得ませんでした。

選挙中から「もし当選したらすぐ再稼働の動きに入るだろう」と観測されていましたが、再稼働反対の人々も花角候補へ投じていますので、しばらくの足かせが嵌められた形にはなりました。

「当選力」の方程式を今回考えてみました。

当選力 = 候補者の資質 x 選挙戦略 x 選対の組織力 x 対話・巻き込み力

それぞれ10点満点で各変数は考えられ、例えば候補者の資質が大変優れていて大きな値があっても、選挙戦略や選対の組織力が劣って小さな値であれば、全体の掛け算の値は小さくなります。

今回の選挙戦を終始関わり続けて、当選力で花角候補と池田候補では以下のような違いになったのではと思います。下記に詳述しますが、当選力で見ても大差ない選挙だったと拝察します。

両陣営とも候補者の資質で差はなく8とみました。

(6/16 13:40追記) 資質では下記の視点も重要ではとのお声をいただき、2019 政治決戦ウォッチさんのツイートを引用させていただきます。前回検証(4)でのご指摘とも重なりますが、花角候補は佐渡生まれの新潟高校出身というご経歴で、同様の方は新潟市内に多く、大きなうねりにつながったとのご指摘も拝見します。出身校ネットワークの力も資質に含めた検討が不可欠と拝察します。「新潟は社民でなく保守でないと勝てない」とのご指摘も拝見しています。

選挙戦略では花角陣営は県民党を掲げ、川上作戦で開始し、再稼働の争点隠しと県民所得アップを訴え続けましたが、池田陣営に追い込まれて最終局面で「脱原発の社会を目指します。再稼働の場合は信を問います」との全面広告を打たざるを得ない状況へ追い込まれました。よって選挙戦略を7としました。

ただ、池田陣営は惜しむらくは選挙戦略が荒っぽくなってしまい、女性と原発を序盤戦で押し過ぎてしまい、単調になってしまいました。しかし、後半戦になり脱原発後の経済を語るようになり、支持拡大へ。よって選挙戦略を6としました。

選対の組織力は花角陣営は自公で地上戦展開を必死に行い、池田陣営は一部の民進県議が花角支持へ回ってしまったこととも報じられ、完全一枚板ではありませんでしたが、野党6党派でかなりそろい踏みを結果としてできていたと思います。よって選対の組織力で池田陣営は7、花角陣営は8としました。

対話・巻き込み力では、両陣営とももちろん追いつかないことが多々ありましたが、花角陣営のツイッターアカウントが発信のみに使用されたのが気になりました。池田陣営は質問や応援に対してリプライする姿勢がありました。

そして、巻き込み力をよりみますと、花角陣営は自公お家芸の地上戦展開で、池田陣営は空中戦に注力して街宣を大都市部を中心に行いました。池田陣営があいにく制空権を取れるまでは行かなかったわけですが、ゲリラ街宣はよかったとの声もあります。これらから、池田陣営は7、花角陣営は6としました。

結果、池田陣営:2,352、花角陣営:2,688となり、当選力で大差ない選挙だったという整理ができるかと思います。しかし、定数は1であり、森ゆうこ参院議員も今回の遊説で説かれていましたように「勝たなければ意味がない」。

さて、今回の敗戦の真因ですが、まず「地方での野党共闘の複雑性や難易度が上がっている」ことを立憲はじめ野党各党が選挙序盤にて理解できていなかったことにあると私は感じています。とても状況が単純ではなかったのが今回の新潟県知事選であり、今後の野党共闘においても、複雑な諸要素を深く理解することが不可欠です。

立憲民主党は新潟県に県連をまだ開設できておらず、その難しさもあったかもしれません。ですが、立憲民主党党本部は各県の考え方を尊重するスタンスが基本であり、新潟県知事選の初動段階から現地そして中央の様々の思惑のカオスが始まり、野党第一党としてのコントロールタワー(司令塔)としての役割を担いきれずに選挙戦最終日まで推移したように私は感じています。しかも県連がないので現地の取りまとめ機能もない。

ですが、今後の選挙でも諸般の事情から県連を開設できないままに重要選挙に突入という可能性はあり、名護市長選のように「県連がないから勝てませんでした」という言い訳はもうできないのです。そもそも昨秋の総選挙は全国各地で県連はないのに躍進したのです。

しかも前回投稿で指摘しましたように、地方の都市部でネトウヨ有権者が増えているという仮説検証が今回なされてしまいました。しかし、立憲民主党が重点的に回ったのも新潟市内だったのです。

今後、どうしたらいいのでしょうか?

私は、真の野党共闘を追求すべきと考えます。

野党共闘という言葉はよく野党各党同士の共闘と誤解されますが、真意は「市民と野党の共闘」です。

市民としてこれまで野党共闘を導かれているのが例えば市民連合であり、立憲デモクラシーの会であり、未来のための公共であり、SEALDs(2016年解散)と拝察します。

真の野党共闘を追求するには、私たち市民の自発性も一層大切になってきます。各党と話し合い、時には潤滑油として、時には政策を一緒に考える仲間として、まだまだやれることは多々あると感じます。

ここで鍵になる概念がフォロワーシップ(リーダーと一緒にやろうという気運の情勢)です。TEDスピーチにてデレク・シヴァーズが下記映像を紹介し、ユーモアいっぱいの映像ゆえか全世界に広がり、日本でもNHK等で紹介され、企業研修や講座、市民集会等でもおなじみとなっています。

2010年にシヴァーズ氏本人から日本語訳そしてYouTube日本語版へのアップの快諾を私はいただきました。市民集会にてご覧になって触発され鳩山元首相も紹介された3分間の重要映像です。

てちさんがフォロワーシップの解説をまとめてくださっています。

リーダーではなくそのフォロワーを見て、他の多くの人々はリーダーをフォローするかを決めるのです。これはムーブメント発生において見落とせないポイントです。

そして、新潟県知事選の検証の結びになりますが、「日常活動と選挙活動ですべきこと・NGなこと」を、以下の表のようにまとめました。

全盲で音声読み替えソフトを使っている人のために、以下にテキストでも記述します。表は横軸が日常活動と選挙活動であり、それぞれすべきこととNGなことに分かれています。縦軸は市民と野党となっています。これまでの5回の検証の原稿にて指摘してきたことをまとめています。

日常生活 > すべきこと > 市民

1. 日々政治話題
2. もふもふ活動
3. 政治カフェ等の開催や参加
4. 候補者や党、市民へのカンパ

日常生活 > NGなこと > 市民

5. 現実や歴史を学ばず無視し認めない
6. 権利の主張に終始し、異なる意見を攻撃する

選挙活動 > すべきこと > 市民

7. 選挙そのものや応援する候補や政党の認知拡大お祭り化
8. 選挙ボランティア等フォロワーシップを最大限発揮する

選挙活動 > NGなこと > 市民

9. 違法行為(誹謗中傷やデマ等)
10. 推しの顔に泥を塗る(候補そして支持者たちの気持ちを下げる)

日常生活 > すべきこと > 野党

11. 日々心開いた街宣
12. 国内外の現場を視察し、社会課題を体感し、事業者たちと長年の関係構築
13. 地道政策研究政策提案
14. 当選力日々向上

日常生活 > NGなこと > 野党

15. 心が狭くなり永田町内しかみられなくなる
16. 支持者との対話を怠り支持者が燃え尽きる

選挙活動 > すべきこと > 野党

17. 台風の目になる
18. 日常活動を基盤に空中戦で制空権を取れるような刺さる選挙戦略、選対組織力、対話・巻き込み力発揮し続ける
19. カオスにめげない

選挙活動 > NGなこと > 野党

20. 有権者未来を拓く有効な選択肢を示せない
21. 違法行為
22. 選挙を盛り上げられない
23. 風頼み
24. 政党鞍替え

なお、市民の日常活動の2.もふもふ活動ですが、もともとうさぎ等をなでるときの手触り感を表した言葉で、転じて政治家を動物にたとえたコラージュ画像を作ったり、ユーモラスでかわいらしく親しみやすいプラカ等をデザインしてセブンイレブンプリンターで出力可能にしたり等の意味として流通し始めているように思われます。

圧巻です。

ふと思い出してみてください。野党特に以前の民主党や民進党は、本当に多くの女性有権者から距離を置かれていました。気難しい表情で、しかめっ面で会議に臨んだり、記者会見をするのが同党の特徴でした。

しかし今や、昨秋小池新党に呼ばれなかった人々が立ち上げた立憲民主党は、創業メンバーの方々は政界で曲げずに生きてきた人たちしかおらず、しかもチームワーク重視なので、遊説や記者会見で明るい笑顔が炸裂することが本当に多くあります。

こんなに明るい人たちだったのかと、もふもふ(キャッキャッとコラ画像を作って遊んでくれる)してくれる人々が登場したのです。

これは戦後、いや明治開国後の日本政治の歴史でも信じられない奇跡的な現象です。フォロワーたちが楽しくしている様子を見て、よりフォロワーが増えていくのです。

無党派とは取り残され層です。仕事に忙しい日々で、昨今の政治の激しい変化が追えていなくて、「わからないものには関われない」と、棄権していくのです。ですが、もし取り残されている人たちが、もふもふの切り口等から政治に関われる機会が生まれたら、大変尊いと思います。

そして、若い未婚のネトウヨ有権者の増加という仮説に対しては、ぜひVTuberを。幕末の尊王攘夷論者の方々も、世界の最新事情を知ったら考えを改めてくださいました。ネトウヨも、リベラルも、もっと寛容に生きよう。

ネトウヨの方々は実は真面目で、話が通じる方も多いと私は感じています。ただ、競争社会で疲弊して、不寛容で神経質な親のいる家庭に育ち、地域社会との設定も乏しく、対人不信が募るまま今日に至ってしまった面もあるかと拝察します。

ネトウヨの方々に愛を。

ぜひ立憲カフェにふらりと寄ってくれたら、大歓迎してお迎えしようではありませんか。

あまりに党本部がマルチタスクすぎて追いついていないかと思いますが、月一、慣れてきたら週次そして毎日で、ぜひ、立憲LIVEの定例化も。MCに党幹部でない方々もぜひなっていただければ、よりファンが増えていきます。

日常活動なくして選挙活動なし。

野党は経済を語れ。

中村喜四郎さんが背中で私たちに今回(検証(2)を参照ください)示唆くださったことを、決して無駄にすることなく、多様性を基調にし、自信を持ち、日々をご一緒していきたいと思います。

検証(1)以降、これまで申してきたことは、選挙を何回か再現して勝ったことがある人々には「選挙や日常活動のイロハしか言っていない」と思われるかもしれません。

ですが、今回の検証にて申してきたように、野党共闘はイロハが抜けるリスクが高いのです。日常活動が人によっては甘くなり、選挙では急遽立ち上がった寄せ集め世帯でコントロールタワーが中央でも地方の現場でも実質的に不在になる可能性があり、市民が野党間を結ぶ潤滑油としてリーダーシップを担えず、戦略が荒くなり、組織力が高まらないと、今回の新潟県知事選の再現が今後の選挙でも起こると心から懸念します。

もうこんな悔しい思いをご一緒したくは決してありません。

ことにコントロールタワーでは、与党の二幹二国(自公の幹事長と国会対策委員長)が定例化されているように、野党も六幹六国を発足させて、せっせと定例開催すべきです。野党党首そろい踏みの記者会見も日常化をしないと多くの国民は不安です。

下記は今後の地方選挙の日程(判明分)です。

2018年11月には沖縄県知事選があります。これも必ず勝たねばなりません。

衆院解散も、改憲国民投票も、いつきてもおかしくありません。

統一地方選、そして参院選挙。

今回の検証が、皆様の構想づくりや行動の一助になりましたら、この上ありません。

いよいよ今回5回の検証を終える前に、「カンパのお願い」をいたします。

上記の「日常活動と選挙活動ですべきこと・NGなこと」の市民の日常活動4.で「4. 候補者や党、市民へのカンパ」と申しました。

はるさん、ちだいさん等、拝見する限りですが、公共性が高いのに、特段のスポンサーもないなか、政治をテーマに、高い専門性のある記事を執筆され、私たち市民と共有くださっています。

ぜひご覧になって、「今後も良い記事を書くための励みにしてほしい」「生活の足しにしてもらいたい」とお感じの方は、ぜひフォローやカンパ(原稿文末の緑色の「サポートをする」ボタンをクリックすると、カンパができます)を何卒お願いいたします。

私の今回の検証記事が参考になるとお感じになったり、応援したいとお感じの方は、フォローそして、ぜひ下記の「サポートをする」ボタンをお願いいたします。

このことで、いわば政治クリエイターの方々が、論説を考えたり、発信することの市場性が生まれてきます。

皆様からのサポート(カンパ)があることで、デザイナーや漫画家など、他の分野で政治クリエイターをやってみたい方々も、内面から湧き上がる動機が生まれ、政治に関するクリエイティブ活動に安心して時間を割けるようになり、私たちの国日本の民主主義空間の発展につながればと願うばかりです。

それは、他の方々の内面から湧き上がる動機がより生まれ、良い連鎖(ペイ・フォワード)の輪が広がっていきます。

枝野幸男さんが演説にて「立憲民主党はあなたです!」と絶叫されて、私たちの胸を射抜いたり感動の涙すら出てくるのは、私たち一人ひとりの内面の可能性に気づかせてくれたからと思うのです。

ぜひ立憲民主党フォロワーの私たちが、真の野党共闘が進むことに貢献し、より多くの一般の人々に感動体験が広がるよう、ご一緒に力を尽くしたく思います。

お忙しい中、最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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一民衆🍎
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