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フィリピンに嫁いだある日本人妻
いつだったか、遠い昔の記憶。
テレビを見ていて、海外で頑張る日本人を特集するような番組をやっていた。
全くの他人なのだけど、強烈に記憶に残っている彼女について、書こうと思う。
彼女はサーファーだった。
フィリピンにサーフィンをしに来ていて、ビーチで出会った同じサーファーの男と恋に落ち結婚した。かわいい子供も生まれた。
ほどなく男はビジネスに失敗。日本に出稼ぎに行くことになった。
彼女はフィリピンに残り、夫の実家で義両親と共同生活をすることになった。
お世辞にも豊かとはいえない家だった。
義両親とは言葉の問題でコミュニケーションがとれない。
夫の給料だけでは生活が厳しいので、彼女はミサンガを作り、近所の商店に売りにいっていた。
「夫のことは愛している、感謝している、一緒に暮らせる日が待ち遠しい」と言う。
彼女の表情はさみしそうだった。笑顔は全部苦笑いだった。
いろんなことを諦めているように見えた。
今彼女はどうしているかしら。
あの時何を思っていたんだろう。
自分とは全く関係のない人なのだけれど、今でも時々思い出すことがある。
彼女は私に何を教えようとしてくれたんだろう。