「知らない」から「理解」へ 女性の不調や自身の不調と向きあい見えてきたこと【東京経済大学・男子学生×研修レポート】
様々な大学と連携したCarellege Actionの取り組み
ツムラは、心身の不調を無理に我慢することなく、誰もがいつでも心地よく生きられる社会を目指して#OneMoreChoice プロジェクトに取り組んでいます。その一環として、今年から、生理やPMSなど、心身の不調を我慢してしまう大学生が「隠れ我慢」※1に代わる選択肢を選べる環境づくりを目指して「Carellege Action」(ケアレッジアクション)※2をスタートしました。
「Carellege Action」では、大学生が無料で専門的なアドバイスを受けられる機会と場となる「ヘルスサポート」や、「大学生向け#OneMoreChoice 研修」を継続的に提供していきます。今回、「大学生向け#OneMoreChoice 研修」に参加してくれたのは、東京経済大学の学生団体『Unlimited』に所属する男子学生の皆さんです。本記事では研修の様子と、学生から挙がった多様な意見や、今後の研修プログラムへのアイデアなどをレポートにしてお届けします。
友人の「隠れ我慢」を知り、想いをシェアし合う
最初に、「Carellege Action」に賛同してくださった東京経済大学の小山健太准教授から、学生の皆さんに研修実施の経緯についてご説明いただきました。
「女性特有の健康問題に対して、男性の理解が乏しいことは社会的な課題です。隠れ我慢をなくすためには女性の努力だけでなく、男性の理解も大切。だからこそ、男子学生にも取り組んでほしいと思っています。」
研修のはじめに、「隠れ我慢の実態」について解説、「女性の8割が隠れ我慢をしている(※3)」といった現状についてデータで説明したところ、こんな声が上がりました。
「思ったより多いと思った」
「自分は不調を感じる機会が多くないので、女性はこんなに不調を抱えているのかと驚いた」
「普段体調不良について話し合うことがないので、数字を見ると多くてびっくりした」
その後、隠れ我慢チェッカ―を使い、自身の隠れ我慢タイプと隠れ我慢度をチェックした後、グループワークを通じて、その内容や、実際どんな時に我慢を感じているか等、シェアし合いました。
Aさん「自分は頑張りやさんタイプで、レベル3だった。自覚はなかった」
Bさん「Aは一人で抱え込んでいる時があるなと思ったことがある。裏で努力しているタイプだよね」
Aさん「頑張っていないと漠然と不安を感じるので、頑張っている方が落ち着くのかも」
Cさん「私は気遣いさんタイプ、レベル2だった。もともと病弱なタイプだったので、人の不調にも敏感。たまに、敏感さが理由で疲労を感じることがある」
Dさん「Cは後輩に暖かい飲み物をあげているのを見たことがある。Cの疲労を減らすために、自分も注意深く周囲を観察したい」
Cさん「Dは電車に乗る時も、よく席を譲ってくれる。そういった気遣いに助けられている」
自分の状態を客観的に観察できただけでなく、友人の隠れ我慢をなくすために行動を変えたいといった意見も挙がりました。「周りの意見を聞いてみると、自分は我慢をあまりしていないと気づいた」という声もあり、自身の隠れ我慢に対する印象は様々でした。
カラダの変化や不調を知ることで、見えてきたライフプラン
続いて、「ライフステージと起こり得る不調」を考えるワークに取り掛かりました。0歳の小児期から思春期、成熟期、更年期、老年期におけるライフとキャリアのプランを考え、将来カラダに起こり得る変化や不調を書き出しました。サクサクと書き終わり、友人のプランを一緒に考える学生もいれば、なかなかワークが進まず、「長い将来まで含めると、キャリア形成の見通しが立たない」と話す学生も。キャリアに対する考え、不調に対する対処法や捉え方等に関して、様々な意見が述べられました。
「親の介護について考えたことはなかったけど、自分の親は祖母の介護をしている。大変なのかもしれないけれど、親から不調を聞くことはあまりなかった。もっと声をかけてあげたいし、自分の親を介護できるよう仕事量などを調整したい」
「病弱だったからこそ、健康面のつらさは理解できる方だと思う。今は全く運動習慣がないけれど、結婚後はパートナーともなるべく長く一緒にいたいので、山登りなど2人で楽しめる運動習慣をつけたい」
「将来30歳くらいになって、周りに部下などで体調不良で辛そうな人がいたら、『大丈夫、やっておくよ』と声をかけられるようになるといいなと思った。『大丈夫?』と聞いても『大丈夫』としか答えないと思うので、先に気遣いできればと思う」
「キャリアプランに向き合って思ったのは、自分の人生がうまくいけばいくほど、人って忙しく、無理をしがちになるのではないかと思った」
ワークに取り組んでみると、仕事、結婚や子育て、介護などの生活の変化と関連して心身の不調が起こり得ることが可視化され、ライフプランには健康という要素が関わってくるという相関関係も見えてきたようです。これらを知ったことで、不調に対処できるよう人生の選択肢やタイミングを考える学生もいました。様々な意見やプランを共有することで、より具体的に不調への対処法を考えることができました。
今回研修に参加したのは男子学生たちでしたが、生理痛やPMSなど女性特有の不調について詳しく学ぶ中で、「これからは女性の不調にも耳を傾けたい」という意見が多く挙がりました。グループワークの最中に挙がった「女性に対する声がけが難しい」という意見を踏まえ、コミュニケーションで解決できる隠れ我慢の解消法についても話し合われました。最後に、学生たちはそれぞれ我慢に変わる選択肢「わたしの #OneMoreChoice 」を発表しました。
ある学生は「月に1回は身体と心のおやすみの日を作る」という#OneMoreChoiceを発表。
「心と身体の休暇を月に1回はとって、健康について考えたり休んだりできる時間を作る。自分が我慢をしていると、相手にも我慢させやすくなってしまうと思った。逆に、自分が事前準備をしておくことで、相手の我慢にも気づきやすくなると思った」
『自分ひとりで抱え込まずに、周りの人に相談する!!』という#OneMoreChoiceを発表してくれた学生も。
「自分一人で抱え込むと爆発してしまう。その前に周りに相談するのが大切。体調不良の時、昔なら自分から周りに言うことはできなかったけれど、今回研修を受けて今なら言える気がした」
また、ある学生は『無理をしない、させない』と発表し、次のように補足してくれました。
「無理をしないためには、下調べや事前準備が大切だと思った。ツムラさんの休暇制度の事例を聞き、自分も就活を行う時には、休暇制度や福利厚生についてしっかり調べたい。
PMSとはどのような症状なのか、多くの男子学生には知られていなかった。研修の機会が貴重だったという声も
研修後、学生たちから様々な意見が寄せられました。
「生理やPMSに関する知識はついたけど、痛みの程度や感じ方がそれぞれ違うことが分かり、身近な人の感覚が気になった。デリケートな話題だと感じる女性もいると思うので、不調がある時に声をかけてほしいと思う人の割合はどのくらいいるのかが知りたいと思った」
「女性の身体について、自分はまだよく知らないと再認識した。感覚が人それぞれだからこそ、生理とストレスの関係など、細かな違いをもっと知りたい。データを気軽に知ることができたらと思う。我慢にも様々なタイプがあることも他の学生にも伝えていきたい」
今回、初となる男子学生向け研修となりましたが、「PMS」という言葉について研修前から知っていたのは、参加した17人の男子学生のうち4人でした。大切なことだけれど知られていないという意味でもこの研修は大変貴重で意義深く、これからも続けてほしい、という意見も出ました。女性の身体や不調に対しても、自身や周囲の隠れ我慢に関しても、これまで気づけなかった一面を発見できる機会になったようです。
今回研修に参加した学生たちは、今後、有志で男子学生向け#OneMoreChoice 研修のプログラムをツムラとともに開発していきます。
※1 隠れ我慢:心身の不調を我慢していつも通りに仕事や家事を行うこと。ツムラが定義
※2 Carellege は、CareとCollegeを合わせた造語です。
※3 ツムラ「隠れ我慢に関する実態調査」
■実施時期:2021年1⽉16⽇(⼟)〜 1⽉18⽇(⽉)
■調査⼿法:インターネット調査
■調査対象
: ①全国の20代〜50代⼥性10,000⼈(⼈⼝構成⽐に基づく)
②⼼⾝の不調があっても、いつも通り家事や仕事を行う20代〜 50代女性1,000⼈
(年代別に250⼈ずつ)
■調査委託先:楽天インサイト