2015-11-29_カマキリ

冬のカマキリ

玄関の門に、カマキリがいた。

取っ手の部分にいたので邪魔になると思い、高い別の場所に移した。

下に置いたら踏まれる可能性があるもんね。

取ったとき、抵抗されなかった。

それほど弱っていた。

冬のカマキリは、死を覚悟しているのだろうか?

もうじき来る死をどう思っているのだろう?

そして、何を感じるのだろうか?

自分に置き換えてみる。

自分が死んだとき何が変わるのだろうか。

誰かの記憶に残るだろうか?

このカマキリのように死んでも1ヶ月後には、忘れられるんじゃないだろうか?

っ手っ取り早く、誰かの心に残るために俺が出来ることは、誰かを傷つけることだと思う。

でも、誰かを傷つけると俺も傷つく。

だから、しない。

そして、その状態で死んだとしても悲しんではくれないだろう。

なにもしないまま死んだら……

誰にも気づかれないだろう。

死んでも携帯にロックをかけているので知り合いに連絡はいかないだろう。

俺が死んだとき……

世界は変わらない。

命の儚さは知っている。

止まらない咳は、いつ止まる?

体中の痛みはいつ消える?

生きている上の痛み。

生きているからの痛み。

今もどこかで誰かが死んでいる。

老いることは嫌だけど醜いことではないんだ。

死んで世界が変わるのなら俺は普通に死ぬ。

でも、死んで世界が変わらないのなら死ぬのは嫌だな。

もうちょっとだけ、生きたかったな。

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