魔女宅のウルスラのセリフが良い。
昔から魔法やファンタジーが大好きで、ジブリ作品も大好きな作品の1つだ。
昔はただ、非現実的な設定や迫力ある内容が大好きで、作品に触れるたびに興奮していた。しかし、ここ最近は物語の奥深くに隠された社会風刺や人生への助言を感じられるようになり、より一層こういう作品に触れるのが大好きになった。
ジブリ作品の1つで有名なものの中に、魔女の宅急便(略して、魔女宅)がある。この作品は、毎年のように金曜ロードショーで放映されるので、小さい頃から何度も見てきた。
姉は魔女宅に出てくる、ウルスラが好きなようで(確かそうだった気がする)、ある日ウルセラのセリフの1つを教えてくれた。
「描くのをやめる。散歩したり景色を見たり、昼寝したり何もしない。そのうちに急に描きたくなるんだよ」 映画「魔女の宅急便」より
このセリフは、普段は何気なくできていたのに、突然ほうきで空を飛べなくなったキキに対して言った言葉である。
このセリフは、私より長い人生を生き、アニメ制作に誰よりも真剣に取り組んだであろう宮崎駿監督がそう感じているからこそ、採用されたセリフだと思っている。
才能に溢れ、たゆまぬ努力もできる。そんな人であってもキキのような突然のスランプに悩むことがこれまであったのだと思う。
そんな時に、ウルスラのセリフ通りに悪戦苦闘することをやめて見たら、すっと上手くいった経験が宮崎監督にあったのかもしれない。
スランプを感じている時、周囲の人間は生き生きとして見え、何も行動できない、何も生み出せない自分にどんどん焦ってしまうことがある。
なんとか現状を打破しようと、一生懸命もがくのだけれど、そんな時に限って頭は全然働いてくれない。やる気も出ない。余計に自分自身が嫌になってしまう。
そんなときは、ウルスラが教えてくれるように、一旦もがくことをやめてみるのがいいのかもしれない。
もがきを止めるのは正直怖いだろう。もがけない自分を嫌いになってしまうかもしれない。
けど、その状態だときっと冷静な判断は決してできないのだと思う。
長い人生、少しくらい立ち止まったところで死にはしないのだ。いつも下ばかりを見て人生という道を歩くのではなく、たまには立ち止まって周りの景色をゆっくり眺めてみるのもいいのかもしれない。
本当に行きたい場所は、今歩いている道の先ではなく、視線を移した先にあるのかもしれない。そう気楽に思えるような人生にしていきたいと思う。
簡単には、思考パターンは変えられない。数十年も毎日毎日何かを思考した結果、生み出されたのが今の思考パターンである。筋トレと同じで、良い思考パターンを生み出すには、毎日毎日良い思考を重ねる必要があるのだと思う。
良い思考を重ねるには、自分自身に余裕がなければならない。だから、ウルスラが教えてくれるように、たまには立ち止まって、ゆっくりと時間の流れを感じるのが良いのだと思う。
明けない夜が、明けますように。