Pueblo gitano
1. スペインに住むジプシー
スペイン語でpueblo gitanoは「ジプシーの村」という意味になる。
ジプシー自体は長い歴史があるらしく、その起源はインドにあるとも言われている。
そもそも日本にいると、ジプシーという存在すらほとんど耳にすることはないと思う。
ただし、世界を見渡すとジプシーたちは今現在200~1200万人(正確な統計がとれないため幅がかなりある)いるそう。
スペインだけだと75~150万人くらいとされている。
自分もスペインにくる以前は彼らの存在について、ほとんど認知していなかった。
ただ、スペインに来てみて、ジプシーのチームメイトとサッカーをする機会があり、彼らの文化との距離が近づいた。
日本ではジプシーという言葉は差別的な意味合いで使われることもあるそうなので、これからはgitanoというスペイン語で統一する。
2. 10代で結婚するgitano
いま自分が所属するチームに、gitanoのチームメイトが二人いる。
一人は18歳。
もう一人は22歳くらい。
18歳の彼は来週結婚する予定で、もうひとりの22歳の選手は既に結婚して小さい子供がいる。
彼らgitanoはひと昔前の日本のように、早期に結婚して、子どもをたくさん授かる、そんな生き方をしている。
いまどき、日本では子どもを授かることはおろか、結婚する人すら少なくなっている。
だが、いま自分の目の前には結婚を間近に控え、これから家族をつくろうとしている18歳の青年がいる。
彼らと過ごすなかで感じるのは、その若さと裏腹に、どこかひとりの人間として力強さがあるように感じる。
18歳の彼と一緒にプレーするなかで、未熟な高校生らしいともいえる部分をたくさん感じることはあるが、それでも物怖じしない芯の強さを彼のプレーから感じ取れる。
日本という単一民族の国で過ごしていると、まったく違った生き方をする人との接点が少ないが、ここスペインでは大陸を超えて様々な人種の人たちが集まって暮らしている。
彼らは同じスペイン語を話すが、一言ことばを交わすだけでgitanoと分かるほど強いアクセントを持つ。
早くに結婚をし、子どもを授かる。
似た文化を持つ人たちにユダヤ人が挙げられる。
いまの自分にはユダヤ人との直接的な接点はほとんどないが、gitanoたちとの接点は以前に比べて増えた。
彼らの生き方、文化に触れるなかで、自分のなかの常識に疑問符がつく。
最後にスペインのフラメンコの伝説と呼ばれるCamarón de la Islaを紹介して終わりとする。
南スペインのCadiz(カディス)に8人兄弟のひとりとして生まれたホセ・モンへ・クルス(別名カマロン)はgitanoであり、そしてのちにフラメンコ界に多大な影響を及ぼすひとりとなる。
詳しいところは自分の専門ではないので省くが、スペインに来たら一度カマロンの歌とともにバルでハムとワインを嗜むのがオススメだ。
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