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絵本『おまえうまそうだな』が舞台化されました。

さぶかるの森 第3号 2024年10月5日

はじめに

皆さんは『おまえうまそうだな』という絵本をご存じでしょうか?
前々から名前だけしか聞いたことがなく、どんな作品なんだろうとずっと思っていました。流石に絵本なので、「ちょっと買いずらいなあ」とか思ってなかなか手にしなかったのですが、今回、舞台化されるらしいので思い切って読んでみました。

当作品について

『おまえうまそうだな』は2003年3月に、絵本作家の宮西達也さんが「ティラノサウルスシリーズ」の1作として発表しました。シリーズ累計で200万部(2015年、国内)を超える大ヒット作品であり、海外でも翻訳され販売されています。

生まれたばかりの子どもの恐竜が大人のティラノサウルスに食べられかけるところから物語は始まり、そこから、心温まるお話が展開されます。

2024年10月に舞台化。製作は作曲家いずみたくさん創設の芸能事務所「株式会社オールスタッフ」さんが担当し、東京亀有のリリオホールにて開幕。12月まで、全国6都市で公演されます。

・感想
まず、原作の方からお話しします。
大昔、ある場所でアンキロサウルスの子どもが生まれました。そこにティラノサウルスが獲物として狙い、食べられそうになります。何も知らない、アンキロサウルスは、ティラノサウルスが「おまえうまそうだな」といったことから、自分の名前が「うまそう」というのだと思い込みます。勘違いが生んだ、感動の物語が展開されます。

また、後半には姉妹作『きみはほんとうにステキだね』も上演されました。この作品は、前半に登場するティラノサウルスが、自身に降りかかった危機、それを通して出会った新しい仲間から、自分とは何かについて問いかける作品です。私は『きみはほんとうにステキだね』が一緒に舞台化されることは知らず、今回初見でした。このようなアカウントをやっていて、あるまじき事態です。初見でしたが、非常に感動的で、涙が出そうになるほどでした。舞台で泣きかけたのってこれが初めてなんですよね。

両作品とも本当に今の自分とは何か、自分は正しいのか、そういったところを問いかけてくる作品であると思います。これは恐竜の彼らだけに言えることではなく、私たちも一緒なのではないでしょうか。普段から自分勝手なことをしていないか、鼻を高くしたりマウントを取ったりしていないでしょうか。そういうメッセージが込められているように感じます。思えば、知らず知らずのうちにそういうことを誰かにしてしまっているかもしれないので、気を付けたいと改めて思う瞬間でした。

次に舞台化された作品に対して思うことをお話ししたいと思います。
原作にとても忠実な作品であり、ところどころの重要な部分にミュージカルの要素が含まれておりました。いや下手したら半分ぐらい歌の場面があったような…。いきなり作品に入るかと思いきや、最初にイントロダクションのような感じで解説者的役割の人が2人現れました。子どもさんでもすんなりと頭に入ってきやすいように、前置きが入ったのだと思われます。

作中に登場するひとつひとつのキャラクターも、本当に原作そのままで、絵本の世界に飛び込んだような感覚でした。動き方や声の感じ、初めて見たはずなのに、絵本そのまんまで既視感というかなんというか、しっくりくる感じでした。

「フォーリーズらしさ」というものが非常に前面に押し出された作品であったと思います。というのも、この舞台の制作を担当したオールスタッフさんは、ミュージカルに非常に強い劇団をもつ会社さんだそうです。

原作がもつ心の温かさとメッセージ性のある作風、劇団が長年の歴史を通して培ってきた演技やミュージカルの力が、見事に合わさった合作であると思いました。

今回の作品を通して、感じたこととしては絵本は子どもだけが読むものじゃないということです。今回の作品から得たこととして、「自分とは何か、人に対しての思いやりはしっかりできているのか」そこが肝なのではないかと思うところです。

・ご案内
もしもご興味もたれたという方、実際に観劇するのはいかがでしょうか。
本作は10月5日より開幕、12月まで全国6都市で公演予定です。

公演日程
東京 10月6日 11:00/14:00
大阪 10月12日 12:30/15:00
神戸 10月13日 12:30/15:00
熊本 12月1日 11:30/14:00
群馬 12月21日 11:30/14:00
栃木 12月22日 12:00/14:30

2024年10月5日21時現在

チケットは下記リンクよりお買い求めください。


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