見出し画像

ひとり暮し

赤川次郎 2001年

・あらすじ

東京の大学に入学した依子は、念願のひとり暮しをすることになった。家賃が安いだけがとりえのアパートに決めたはいいが、複雑な事情がありそうな住人ばかり。入居早々、部屋は隣に住む女性の荷物に占領されており、自分の荷物を預かってくれているという部屋を訪れると、そこの住人が倒れていた!どうやら、自殺未遂を繰り返している人物……。しかも、彼女を助けたことがきっかけで、女優デビュー?波乱万丈の青春ミステリ。

『ひとり暮し』赤川次郎(2019)表紙あらすじ

・感想

11月に入り、一段と寒くなりましたね。風邪などひかないよう、気を付けましょう。ちなみに去年の今頃は確か風邪ひいた記憶があります。正直、体調崩しそうで怖い…💦

赤川次郎さんの作品は今回が初めてでした。名前ぐらいは聞いたことがあったかもしれませんが。今、私の周りでも一人暮らしをしている人が多くいます。私自身も一人暮らしに憧れていたりします。一見何でもかんでも自由になって楽しそうなことですが、その分大変なことも多いということは、ここ最近になってようやく分かってきました。

この作品は依子という大学1年が、東京の大学に入るために福岡から上京したところから始まります。引っ越し先のアパートは変わった人たちばかり…。でも、この個性的な人たちだからこそ、面白い展開になっていくんですよね。一人暮らしをしてみないと分からない孤独感や、大変さが作中には終始描かれ続けていました。

私は主人公・依子と同じく、今年の4月から大学生になりました。関東育ちなので、一人暮らしはしておりません。周りの人たちと話をしていると、本当にやることがたくさんあって大変そうだと思います。お金にせよ、時間にせよ、すべて自分で管理しないといけない。子どもの頃の一人暮らしに対するイメージは、「自由を謳歌している人たち」だと思っていました。確かにそうかもしれませんが、それは楽しいことばかりではなく、辛いこともたくさんあるということが分かったような気がします。

右も左も分からない状態で、周りから助けてもらったり、時に危ない人に騙されかけたりしている様子が描かれております。それは無意識にしてしまっていることや、分からないから自分が思うようにやってみたということが多いようです。私自身もこういう経験は山ほどしているので、すごい分かります。初めて見たもの、経験したものは、どうしたらいいかわからないから、何となくやってしまう。それで失敗したということは数えきれないほどあります(自慢げに語る話じゃないですが)

ひとり暮しには憧れますが、憧れているだけでは駄目だということが分かりました。いろいろと気を付けることはあると思いますが、まずは「周りに流されず、自分ひとりでなんでもできるようにする」という心構えが必要だと感じました。生計立てるにしろ、新しいもの買うにしろ、始めるにしろ、すべて自己責任。上手くいっても、失敗しても、全部自分のことだと考えることは、まず必要だと思います。当たり前のことを当たり前にできるよう心掛けたいです(こんなところで書く話じゃない気が…)

あともう一つ、注目した点があります。それはいくつか女性の社会でのありかたを考える場面があったことです。

例えば、前半のある場面。依子が女優の隣人との付き合いで、稽古場に行ったときに、あまりにも失礼な態度を監督にとられ、平手打ちをかましたこと。また後半には、近くで痴漢に遭った人が現れ、犯人を一緒に突き出すという場面もありました。

男はいつの時代もどこか、自分を偉そうに取り繕うように感じます。その矛先はいつも女性に向けられてきました。ですが、もとは人間というひとつの括りです。男女で優劣をつけたり、男性だから、女性だからと考える必要性はどこにもないように感じます。

そういった変わりきっていない世の中の風潮に、鋭く突いてくる作品であると思いました。

・書籍情報

初版刊行:2019年7月25日
刊行元:KADOKAWA
定価:660円(税込)
ページ数:288p
ISBN978-4-04-108295-9

備考
単行本:2001年6月、幻冬舎
文庫本(幻冬舎):2002年10月

📚最後まで見てくださりありがとうございます。
「参考になったー☺️」と思ったら本屋で見返せるよう保存をお忘れなく🔖

いいね・コメント・フォローとても嬉しいです!
ぜひぜひ!

いいなと思ったら応援しよう!