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なぜ起業を考えたのか?作業療法の保険内での限界と保険外での可能性

 この話をするのにはまず、僕が知っている作業療法について説明する必要があります。知っているといっても、臨床経験は、まだまだ未熟ですので大学で学び、信じている作業療法と言い換えます。
 作業療法を簡単に、それはもう一番シンプルに大枠で言ってしまうとそれはリハビリの仕事です。皆さんはリハビリの仕事と聞いてどのような格好を想像しますでしょうか?少なくとも高校生の川原君は「リハビリ=なんか体を良くする仕事?」という解釈でした。

疑問

先に結論からいきます。
僕が知っている作業療法とは”生活に関する何でも屋”です。

 何でも屋?専門職なのに何でも屋ってなんか矛盾していないか?生活って言われても、人間皆生きてセイカツしているわけだから?は?などと疑問は多いかもしれません。もちろん作業療法士の方はなんとなく言いたいことはわかる一方で中では批判したくなる人もいるかもしれません。この作業療法の説明に関しては主に作業療法士ではない方へ向けたメッセージなのでご了承ください。
 さて、この話を読み終わったころには少し僕が知っている作業療法についてわかっていただき、これ楽しいかもと思っていただけると嬉しいです。

 作業療法を大学で勉強し始めて作業療法=体を良くする仕事という考えではないことが徐々にわかってきました。
 そう思ったきっかけの一つとして、授業の中で化粧を学んだことです。リハビリで化粧?その頃はまだ疑問の方が大きかったように思います。ただ、作業療法における”作業”とは”人が朝起きてから寝るまでに行う生活行為の全て”であるという考え方を教わり世界が変わりました。例えば人は朝起きて、歯を磨いて、朝食を食べ、着替えるという生活を営んでいます。この朝の生活行為の中だけでも起きる、歯を磨く、朝食を食べる、着替えるといった”作業”が組み込まれているのです。作業療法はこの”作業”を療法(支援)するわけですから、当然「化粧」を学ぶ意義もうなずけます。もし化粧が何らかの理由で出来なくなってしまうないしはやらなくなってしまうことで自分の生活が崩れ、結果的に精神的にも落ち込み気味になってしまう方は特に女性では多いのではないかと思います。そういった生活の不具合を解消する仕事が「作業療法」なのです。

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 ここでタイトルにもあります保険が絡んだ際の考えることの違いについてのお話です。
 生活上の不具合はその人が持つ習慣や価値観、疾患等によって多岐にわたります。例えば、通勤という作業を一つとっても歩いて通勤する方と車で通勤する方では通勤という作業の難易度も変わってきますよね。それに加えて手が不自由なのか足が不自由なのかにもよって難しさは変わってきますね。作業の専門家である作業療法士にとってはどちらも支援すべき対象です。しかし、保険内のサービスには支援できる限界があるように感じます。私も現在病院勤務なのですが、病院では支援以外にも考えなければならないことがたくさんあります。それぞれ病院独自の方針であったり、病院の設備の関係上できないことも沢山あります。また、地域でも時間の制約、支援できる枠の制約等で手が回らないことも沢山あると思います。一方で手が回らないところにも支援のニーズがあることは確かなように感じます。この限界があると生活に関する何でも屋である作業療法士のできることが限られてしまいます。

せっかく生活に関する支援に制限がないはずの作業療法士がもったいない!

 これが、起業に舵を切る原動力のマインドでした。
 しかし、もちろん保険外の独自サービスを作ったとしても、経営の観点、安全、感染等制限は出てくると思います。しかし、保険内の制限の強さはなく、自身の工夫次第で限界を限りなくなくせる”可能性”があると思っています。生活に関する何でも屋がその特性を十二分に生かせるようなサービスを工夫次第で生み出せるのが保険外の可能性といえるでしょう。
 私たちが考えているサービスは、保険で賄いきれない部分を補填するようなものにしたいと考えています。例えば、介護予防の分野において国が推進している通いの場への専門職配置などは現状、専門施設が運営している場でしか機能していませんが、住民主体の通いの場での活動にも参画していけたら、通いの場の充実、ひいては地域の健康に貢献できるのではないかと考えています。
 また、今特に国や自治体の手が回っていない買い物弱者への支援も、保険外サービスとして柔軟かつ質の高いものを提供できると考えます。
 そしてそれらのサービスを提供、洗練させていくことが我々のような起業を志すもの、起業したものの使命ではないかと考えます。

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 最後は少し硬いお話になってしまいましたが、作業療法という生活の専門家はそのような堅い枠にとらわれず、必要性があれば遊びすらも支援するような仕事です。そして、制約を限りなく少なくした支援を提供できるステージが保険外であると考えています。
 あくまでぼく個人の考えでありますが、参考までにということで締めさせていただきます。

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