法務からキャリアチェンジして気づいた、実は法務時代からずっと大切にしていた姿勢
みなさま、こんにちは!
本記事は、裏法務系アドベントカレンダー2021の記事です。昨日の中川さんからバトンを受けまして、本日は6日目の投稿になります!
気付くと前回書いたのがちょうど1年前のアドベントカレンダーの企画ということで、丸1年ぶりの個人的な投稿です!お付き合いください!
誰がこの記事を書いているのか?
端的に申し上げると、今は「法務じゃない側」に身を置いております。
私は、ロースクール卒業後、新卒として日系メーカーの法務としてキャリアをスタートし、2020年1月にリーガルテックのHubble(ハブル)のカスタマーサクセス職へ転職・キャリアチェンジし、約2年が経ちました。
実際に何をやっているのか気になった方は、こちらのエントリをご覧頂ければと思います!
また、今年の6月からは、Legal Ops Lab(リーガルオプスラボ)という法務向けメディアの編集員も兼務しています。
なぜこの記事を書こうと思ったのか?
自らは法務の一線からは退く一方で、多くの法務の皆様とお話をさせて頂く中で、気になるトピックが2つありました。
①社内法務と(外部)顧問弁護士の境界がより曖昧になっていく可能性がある?!
「法務受託」といった外部弁護士がいわば法務部のように企業をサポートするという考え方の登場により、社内外の「法務」の境界が曖昧になり、社内法務の方は、より「企業に在籍する法務」としての価値を明確化することが必要になりそうであると感じられたのが1点目の理由です。
②法務経験者が異なる職種へキャリアチェンジする事例が、増えてきている?!
これまでもジョブローテーションで法務から別部署へ異動するケースは多くありましたが、これとは少し異なり、ロースクール卒など法的なバックグラウンドを持ったいわば「専門化した人材」が、そのスキルを活かしつつ、リーガルテック企業などで別職種にチャレンジするケースが増えてきたことが2つ目の理由です。
以上を念頭に置きながら、法務としても十分役立ち、また仮に法務から次のキャリアに移る場合でも、非常に有用だと感じた私自身の経験やアクションをピックアップしながらお話を進めていきます!
(私自身の経験に依存する部分も多いので、ピンとこないケースがあるかも知れませんが、その点はご容赦ください…🙇♂️)
法務時代に実践しておいてよかったと感じたこと
1. 基本編
3年前に法務の方々が元々持っているスキルは、ビジネスパーソンとして非常に重要なスキルになる、という趣旨の記事を書きました。こちらの記事も本記事に合わせて、(大急ぎで)アップデートしました!より一般的な内容が気になる方はこちらをご覧ください!
2. 期待値をほんの少しだけ超えるアクションの実践
法務に求められるのは、平たく言えば、まずは「リスクを低減すること」にあります。この点をこなせていれば、ひとまず法務としては問題ありません。ただ、そこから一歩踏み込んで、より自分のサービスのクオリティを上げ、自ら仕事をしやすい環境を作るには、ほんの少しだけ相手の期待値を超えていくアクションをとってみると良いよ、というお話です。
①キーワードは「カスタマイズしたコミュニケーション」
この「期待値を超える」というアクションのポイントは「カスタマイズしたコミュニケーション」という点があると考えています。
通常ルーティン化した業務は、均一な品質でアウトプットすることが求められますが、ここに個別事情に沿った対応を少し加えることで、ほんのわずかだけ相手の期待値を超えることができると考えています。
②法務在籍時に実践したこと、役立ったこと
自分が実際に行った例で言うと、法務が社内の情報を集めやすい立場にあったことを活かし、相談に回答する際に、関連すると思われる自分が見聞きした社内の他部署の動きを「念の為ですが」と前置きして、社内で足並みが揃っているかの確認を促したりしていました。意外に社内での共有が十分でないこともあり、有意義な確認になることもありました。
また、形式面で言えば小さなことですが「相手がどういった環境で自分のアウトプットを確認することになるか」を想像していました。当時は、Office形式のファイルは互換性の関係もあり、スマホであまり見やすくなかったので、どうやら移動中に確認してもらうことになりそうだとカレンダーなどで察知したら、敢えてPDF形式も添付して、確認者が確認しやすいように注意していました。
③法務を離れた後でも、役立ったと実感したこと
こういった心がけや実践は、ある時期から自分の中で当然の考慮要素になったので、現職のお客様とのコミュニケーションの際にも当然考えるクセがついています。直接お客様から感想をお聞きするケースは多くないですが、手前味噌ながら、少なからず良い影響をもたらしている実感があります。
3. プロジェクト案件への関与
プロジェクト案件への参加は、法務が企業活動の中でどのような役割を果たせるのかを知るという観点で当時も役立ち、そしてキャリアチェンジ後も非常に役立っている実感があるので、簡単にご紹介します。
①法務在籍時に実践したこと、役立ったこと
私は幸せなことに、新規事業や改善系など、複数のプロジェクトに参加した経験があります。例えば、既存事業の収益性をより上げるための改善を検討するプロジェクトにオブザーバーのような立場で参加したことがありました。
ここでは、法的観点をストレートに使うケースは契約スキームの見直しくらいで、限定的でした。ただ、現状の事業の課題感を具体的に認識するにはこれ以上ない機会で、自社の事業の解像度がより上がりました。この経験を経て法務相談に対しても、普段「事業部門が使う言葉」を使って回答することができるようになり、回答の具体性が増したという大きなメリットがありました。
②法務を離れた後でも、役立ったと実感したこと
私自身は、現職でいわば「システム導入プロジェクトのサポート」をしているので、そもそもプロジェクトチームの中で働くということ経験自体が、現在にも役に立っています。もっとも私のような特殊なパターンでなくても、プロジェクト全体の進め方、言い換えると他部署とのコラボレーションの進め方を理解していることは、ビジネスパーソンにとって非常に重要なスキルだと思います。
自分も、稟議システムなどシステム導入プロジェクトに関与したことがありますが、近年の法務だとコンプライアンス強化やリーガルテック導入のプロジェクトが最も身近なプロジェクトでしょうか。特に若手の皆様を中心に、早いうちに何かしら経験してみることをオススメします!
なお、必ずしも主導しなくても「巻き込まれること」で自分のバリューを見直す機会になるというご指摘もあり、個人的には非常に納得しましたので、こちらにリンクを掲載させて頂きます。
なぜ自分が上記の実践をしてきたのか?忘れがちな重要なこと。
ここまで書いてきて改めて感じるのは、上記のいずれも、法務にとってプラスに働き得ることは、なんとなくご同意頂けると思われる一方で、少なくとも法務業務においては「外縁」に位置付けられるアクションです。
なぜ自分が「外縁」と位置付けられるアクションを実践できたのかを今更ながら考えてみると、会社のビジネスそのものや、その中のメンバーに関心を持てたことが、重要な要素になっているように思われました。
これは、自社のプロダクトやサービスが「好きである」ことと必ずしもイコールではないと考えています。この点は、例えば「法務ひいてはビジネスパーソンとしての義務感」に起因する関心でも良いと思います。現に自分の場合も、最初はそうでした(もちろんビジネスやプロダクトに愛着があれば、それは最高に幸せなことですね。自分も最終的にはそうなりました!)。
例えば、私の場合には、別に誰に言われたわけでもないのに、最初から自社製品がメディアに取り上げられたら必ず目を通していましたし、関連のありそうな記事にも(そんなに数が多くなかったこともあり)目を通していました。それはプロダクトへの愛着などではなく、それを「何となくやるべきだ」と思っていたからです。
その結果として、とある有名な雑誌で商標的にルール違反がされていることを発見してしまう、みたいなこともありました。間接的に自社製品をご紹介頂くケースだったため、事前チェックがなく、発刊後でしか気付けなかったケースでしたが、事業部長からは早期(発刊当日)の発見で、非常に感謝された記憶があります。
こういった「関心を持つこと」は、一般的に法務からビジネスサイドにキャリアチェンジをする場合には、当然備えるべきであることは言うまでもないですが、まさに法務時代から培っていたからこそ、自分のキャリアチェンジがスムーズに進んだのだなと、本記事を書いていて改めて気付かされました。
まとめ
こういったことを皆さんに、やろうぜ!というつもりは毛頭ないのですが、自社ビジネスやメンバーに対する関心が、具体的なアクションに変わり、自分の評価をジワジワと上げ、また貴重な経験を呼び込むということは間違いなくあると思っています。まさに前半で提起した「社内にいる法務」としての価値を創り出す源泉ではないでしょうか。
世間には汎用的なビジネススキルが溢れていますが、経験やスキルを伸ばす要因は、理由はどうあれ結局自社ビジネスに関心を持つことであるという、ある種当たり前の話を、直接的なビジネス部門ではない法務においても感じたのでした…!
取り止めもない話に、最後までお付き合いありがとうございました🙇♂️
ということで、私のバトンはPちゃんさんにお渡しします!
引き続き、アドベントカレンダーをお楽しみくださいー!
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