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9月28日 ピンチはチャンスだ,ありがとう

「1日1話,読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より,ハローデイ社長の加治敬通さんです。
※肩書は『致知』掲載当時のものです。

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 福岡県にある「アミューズメントフードホール」ハローデイ。Webサイトに加治敬通さんの代表あいさつがあります。『1989年ごろには倒産寸前だった企業が「日本でもっとも見学者の多い店」と評価されるようになった』とあります。
代表あいさつ|アミューズメントフードホール ハローデイ
加治敬通さんのお人柄が伝わってくる挨拶です。

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『ピンチはチャンスだ,ありがとう』とは,清水英雄さんの詩。
私は初めて知りました。「ピンチはチャンス」とはよく聞くけれど,その後に『ありがとう』と続くのは初めて見た気がします。
 「ピンチはチャンスだ,ありがとう」というのは実体験からきているという加治社長。その実体験の話をご紹介します(丸写しにならないように)。

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 平成八年元旦の午前一時。二十数年ぶりに出した新店で火事が起こります。除夜の鐘を聞きながら営業報告を確認し終えて一息ついたところでした。

 すぐに車に飛び乗って現場に向かいます。悪いことばかり考えて震えが止まりません。そんな時にふっと「ピンチはチャンスだ,ありがとう」という詩が頭に浮かんで,必死で唱え始めます。

 車内での四十分間,私はその詩を大声で繰り返しました。店についた時にはゼェゼェいって喉がかれていたので,店に向かって歩く間は「ピンチはチャンスだ/人生はドラマだ」と小声で何度も呟いていました。
 すると私を見つけた店長がバッと走り寄ってきて「すいませんでした」と大声で謝ってきました。その時私の口から出てきたのが,「店長大丈夫や! 改装費一億か二億かかっても,君ならまた取り戻せるやろ」という言葉だったんですよ。

『あの詩を口にしていなければ,きっと烈火のごとく𠮟りつけていたと思います。』と加治社長は振り返っています。
 当時の店長は『半殺しまでだったら我慢しようと覚悟をしていたら,思いもよらない言葉を掛けられて,嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかった』と話していたそうです。

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 『ピンチはチャンスだ,ありがとう』の詩が,加治社長を落ち着かせ,前向きな思考を与えてくれたのだと思います。

 この話の後日譚。そのお店がオープンしたときの売り上げは千七百万円で,スーパーの売り上げとしては『驚異的な数字』でした。ところが火事の一か月後に再オープンしたときは二千三百万円! 『オープン時の売り上げをクリアするっていうことは本来ありえないこと』と加治社長は仰っています。

 火災という自分の手ではどうしようもない,止めようもない災難に襲われたら,きっと行き場のない怒りや悔しさを他の誰かにぶつけたくなる。
 もしも,加治社長が,怒りに飲み込まれたままだったら…。
 加治社長が,怒りを店長にそのままぶつけていたら…。
店長は辞めていたかもしれないし,オープン時の売り上げを越えなかったかもしれない。

 驚異的な売上高を出した具体的な理由は,きちんとあると思う。
 同時に,この災難への向き合い方や,仕事に対するモチベーションをすぐに立て直したことに,加治社長の行動が影響していることも確かだろう。
 昨日の大谷將夫さんの「合理主義と人間主義」の両方を大事にする経営のお話ともつながりを感じる。

『ピンチはチャンスだ』の9文字だけではモチベーションが戻らないとき,『ありがとう』の5文字を続けるだけで気持ちに変化が表れそう。

怒りや悲しみに囚われそうになったとき,
あなたを怒りや悲しみから解放してくれるのは何ですか?

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