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10月2日 本当の商人の謙虚さ

「1日1話,読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より,大創産業創業者の矢野博丈さんです。

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誰もが知っている100円ショップ,ダイソー。創業者の矢野さんのインタビューがForbes JapanのWebサイトにありました。

夜逃げ、火事、脳梗塞。ダイソー矢野博丈の人生と成功

ちょっと長い記事だけれど,矢野さんのお人柄が見えてくるインタビューだったのでオススメです。

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 転職9回,夜逃げ,放火による火事,そして自身の脳梗塞。「どんなに成功しても,何が起こるかわからない」と思っていらっしゃるのか,ネガティブというか悲観的というか。でも,どん底から抜け出すときは「仕方ない,仕方ない」と自分に言い聞かせて逃げ切るという。逃げるというけれど,どちらかというと「上手くかわしている」ような気がする。

 矢野さんに影響与えた経営者のひとりが,イトーヨーカ堂の創業者である伊藤雅俊氏だ。矢野さんが伊藤氏に初めて会ったときの印象は強烈だったとある。

・・・ところが伊藤会長は,社員のやることに対して一から十まで,いや一から百までああだ,こうだと叱っておられる。
(中略)
 日本人は謙虚というものを,お坊さんの謙虚と勘違いしている。本当の商人の謙虚というものは,生きるために必死になっている姿。それこそが商人の謙虚だと思いました。

矢野さんは,伊藤氏に出会った日を境に社員を怒れるようになったという。ちなみに上のForbesのインタビューの中で,矢野さんがどういうときに怒るのかと社員に尋ねたところ,「売上が上がらなくても全然怒らないけど、ベストを目指しているか、甘えた姿勢になっていないかと怒るんです」と答えたそう。

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謙虚ってどういう意味だったっけ?

けん‐きょ【謙虚】
[名・形動]控え目で、つつましいこと。へりくだって、すなおに相手の意見などを受け入れること。また、そのさま。「謙虚な態度」「謙虚に反省する」
[派生] けんきょさ[名]
ーデジタル大辞泉 よりー

 謙虚とは,自分のスキルや肩書に自惚れることなく,控えめな態度でいること。でも,矢野さんがおっしゃる「商人の謙虚さ」はちょっと違う。
自分のスキルや肩書に自惚れないからこそ,「いつ潰れるかわからないと思って,今できることをしっかりやる」。控えめとはちょっと違う雰囲気を感じるのは私だけだろうか。

初任のころお世話になった先輩が教えてくださったこと。
「準備は悲観的に,実施は楽観的に」
この言葉を思い出した。
去年うまくできたからといって,今年も成功するとは限らない。
あのクラスでうまくできたからといって,このクラスでも成功するとは限らない。
過去の経験や,自分の肩書,実績に驕ることなく,変わらず努力をする。
「商人の謙虚さ」と共通する部分があると思う。

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・・・ですから,店が増え続けた先には断崖絶壁というか,売れなくなる時が待っているわけで,そうなると兎のように早く増やすより,亀のようにゆっくり増やしたほうがいい。かつて夜逃げした時に,東京に着いたらどうすればいいんだ,とゴールに近づけば近づくほど怖くなりましたが,あの心理と全く同じなんです。

ひとつの成功を見た人ならではの恐怖なのかもしれない。
安定を失うことの恐怖を知っているから,どんなに成功しても努力し続けられる。
これも「謙虚さ」のひとつなのだと学んだ。

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