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8月17日 結果のコミュニケーション

「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より、キリンビール元副社長の田村潤さんです。

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 田村さんは45歳の時,本社の政策立案部門という花形の仕事から一転,高知支店の支店長へ。売上成績が全国最低ランクだった高知支店を日本一へ,さらに,アサヒビールからトップシェアを奪還。現在は,このような経験を著書や講演活動で伝えていらっしゃいます。

Webから2本,記事を紹介します。
「表面的な数字ばかり追う会社の致命的な欠点」(東洋経済)
https://toyokeizai.net/articles/-/205242
「高知のダメ支店を「日本一」に変えた、キリンビール営業マンの奇跡」(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/48540?imp=0

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 みんな人のせいにしているんですよ。ビール業界では「商品力八割,営業力二割」とよくいわれており,本社の指示通りにやって売り上げが上がらないのは本社が悪い。自分のせいじゃない。負けても平気。誰かが何とかしてくれる。そういう典型的な大企業病,負け癖のついた集団になってしまっていました。

 これは,田村さんが高知支店に異動して,すぐに気が付いたこと。これと同じことを学校でも感じるときがある。
・成績が上がらないのは,クラスの〇〇が優秀だから
・成績が上がらないのは,課題の量が多すぎるから
・成績が上がらないのは,部活動が忙しいから

いろんな「~~~だから仕方ない」を並べていないだろうか。「失敗」や「負け」に向き合う経験がないと,人はこういう考え方になるのかもしれない。そんな状態の高知支店を復活させるために,田村さんが取り組んだこととは何なのか。上で紹介した記事には,今から書くこととは別のエピソードが載っていますので,是非ご覧ください。

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当時の高知支店には決めたことをちゃんとやり切る文化がありませんでした。この文化だけはせめてつくらないと,組織にならないと思い,営業マンが自発的に目標を定め,それを現場のリーダーとの間で合意し,その結果をしっかり検証する「結果のコミュニケーション」を開始しました。

・目標は,自分で考えて自分で設定する
・月ごとに「なぜ実行できなかったのか」「どうすればよいのか」を突き詰める
・どれだけ良いプランがあっても,実行できなければ価値がない
・理念を大事にする

「結果のコミュニケーション」については,こちらの記事を。
「お客様を幸せにしたい! 理念が強い現場をつくる」(PHPオンライン衆知)
https://shuchi.php.co.jp/management/detail/5523

 田村さんは,料飲店に絞って営業活動を行うことを決めます。すると,営業マンから「毎月200軒の料飲店をまわる」と具体的な目標が出てきました。「自分で考えるセールス」が芽を出した瞬間と振り返っています。
 決めただけでは意味がない,と目標や取り組みについて月ごとにリーダーと振り返りを行うようにしました。すると,リーダーをはじめメンバーの行動スタイルが変わってきたそうです。(詳細はリンク先で)
 「やり切る文化を創り上げるまでに一年半くらいかかりましたね。」と田村さんは振り返っていらっしゃいます。

 人は敷かれたレールの上を走るよりも,自分で選んだレールのほうが楽しく走れるものだと私は思っています。
 「料飲店に絞って」という方向性が見えたので,一人ひとりがレールの敷き方を考え始めた。それぞれがきちんと進んでいけるように,ときどき見直す時間を作った。最初は営業に行って門前払いされたり,目標を達成できなかったりしたそうですが,田村さんはそのたびに本気で叱ったり励ましたりして,粘り強く営業の基本活動を続け,馴れ合いではないチームワークが生まれてきたそうです。

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 また,この取り組みの過程で,仕事の目標が変わってきたといいます。
 営業先で出会ったお客様から,自分が思ってもみなかった「キリンビールの価値」に気づかされたそうです。「美味しいビールをつくってお客様に喜んでもらう」という企業理念を実感した田村さんは,この思いをメンバーと共有していきます。
 目指す目標は「数字の達成ではなく、高知の人を幸せにすること」。次第に仕事現場で数字の話が一切出なくなったそうです。
理念,ビジョンの共有で,行動が変化する。「結果のコミュニケーション」以外にも様々な取り組みをとおして,高知支店は劇的な変化を見せたのです。

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 私は「学校で学ぶ目的」を生徒たちと共有できているだろうか? と考えてしまいました。
 田村さんの取り組みは,コーチングの理念と共通するところがあると思うのです。数値目標に,感情が乗っていたほうが実現しやすいこと。他人から与えられた目標よりも,自分で考えた目標や手段は実現しやすいこと。本には表れていないけれど,メンバーのやる気を引き出すのに効果的な接し方をされていたのでは…と思っています。

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あなたの目標を達成したときに,喜ぶのはどんな人ですか?
あなたの目標達成の過程を,一緒に振り返って応援してくれる人は誰ですか?


2つ目の質問に答えられなかった人は,コーチをつけるのもオススメです。

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