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10月7日 人間は努力するかぎり,迷うものだ-ゲーテの言葉

「1日1話,読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より,評論家の森本哲郎さんです。

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 森本哲郎さんは,新聞記者,フリーの批評家,情報番組のキャスターなどを務められた人です。本には2つのエピソードが載っています。

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 新聞の学芸記者だった頃,升田幸三,大山康晴両棋士の名人戦を見学したときのこと。いざ対局が始まると,大山棋士は,駒が一つ動くたびに2時間近くの長考に入るのです。『退屈で,もうこりごりして帰った』そうです。
 その対局のあと,しばらくして大山棋士にインタビューする機会を得た森本さん。いったいどういう時に長考するのか聞いてみたのです。

「そりゃ,うまくいきすぎている時ですよ。だって,物事というものは,そんなにうまくいくはずがないでしょう」

「やたら順調に進んでいる時は,どこかに落とし穴があるに違いない」と考える。勝負に勝つ秘訣であると同時に,人生を誤らないための至言だと,森本さんは思い知らされたといいます。

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 次はタイトルのゲーテの言葉。

 私の青春時代は戦争の真っ只中でした。召集が来れば,必ず戦死する。そう考えると,たかだか二十歳前後の短い生涯だったけれど,自分なりに人生を総括しておきたいと思うようになりました。毎日,真剣に本を読み,友と議論をしました。しかし,本を読めば読むほど,人に会えば会うほど,迷いは深まるばかりでした。

 そんなときに,友人から勧められたのがゲーテの『ファウスト』。その中で「人間は努力するかぎり,迷うものだ」という言葉を見つけます。

 何かを成し遂げようと思った時,迷うことなく目標に達することなど,決してあり得ません。高い目標を掲げれば掲げるほど,何かを成そうと願えば願うほど,人はあれこれ悩むものです。逆に見るなら,迷わない人間とは,何の努力もしない人間と言えましょう。努力しなければ,迷うことさえないのです。

「迷うということは,努力している証拠」と森本さんは考えます。

私は,迷ったり,悩んだりするのは,その事実に向き合っているからこそだと考える。これって,進路に悩む生徒にも当てはまると思う。
 自分の適性や,家族の意向。今の自分自身の成績。模試の結果。いろいろなものが生徒の進路希望に影響を与える。試験が終わるまで「絶対,大丈夫」は無い。どの選択が正しいかなんて誰もわからない。

 「悩み・迷い」と「決断」はセットになっていると思う。
人は「どのように決断するか」を悩んで考える。
考えない人は,いつまでも決断しないか,他人に決断を任せてしまう。
「他人に任せることを『決断』」するのではなく,自分でなかなか決断できないから「他人の決断に乗ることを決断」している人もいるかもしれない。

あなたが,今,悩んでいること,迷っていることはなんですか?
それについて決断できたとき,あなたはどんな気持ちになりますか?

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