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8月21日 鈴木大拙の風韻

「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より,大谷大学非常勤講師の岡村美穂子さんです。
※肩書は掲載当時のものです。

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 鈴木大拙は,日本の仏教家,文学博士。禅についての著作を英語で著し、日本の禅文化を海外に広く知らしめた人です。著書約100冊の内23冊が、英文で書かれています。80歳の時からアメリカに居住し,コロンビア大学などで講義・講演を行っており,講義を聞いた人の中には,『4分33秒』を作曲したジョン・ケージや,『ライ麦畑でつかまえて』を執筆したサリンジャーなどがいます。

鈴木大拙:ZENを世界に広めた仏教哲学者(NIPPON.COM)
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/b07214/

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 岡村美穂子さんと鈴木大拙の出会いは,岡村さんが10代の時。当時80歳の鈴木大拙を気遣って,岡村さんのご両親が自宅の一部屋を大拙に提供していたそうです。「365人の仕事の教科書」には,そのころのエピソードが綴られています。

「先生。世の中にたくさんの宗教があるでしょう。だけど究極的には同じことを言っているんじゃないですか」
 私としては知恵を絞り,精いっぱいの質問をしたつもりでした。
 そのとき,先生は,何とも言えない優しい顔をされて,遠いところを見るような眼差しで「ノー」,つまり「同じところには到達しないよ」とおっしゃったのです。
 とにかく恐れを知らない生意気盛りですから,先生と気軽にお話しするうちに,いつのまにか自分の日ごろの不満や悩みを率直に先生にぶつけていました。
 (中略)
 先生は私の手を広げながら,
「きれいな手じゃないか,美穂子さん。仏の手だぞ」
「仏の手じゃないか。何でそんなにブツブツ言うのか」
 そういって涙を浮かべておられるのでした。
 前日に「ノー」とおっしゃったことの答えは直接には説明してくださいませんでしたが,先生から発せられる空気に触れて,その意味が何となく感じ取れる気がしたのです

 禅は「不立文字(ふりゅうもんじ)」、つまり、「言葉にとらわれるな」「経典の中に悟りの答えがあると思うな」と解釈され,体験を何よりも重視します。

 これを知ってしまうと,私が感じたことを文字にしていくのは無粋かなぁと思ってしまう。リンク先の記事や引用部分を読んでくださった皆さんそれぞれの心に漂った空気感を,じっくり味わってもらうほうがいいかなと。

2020年は鈴木大拙生誕150周年だったんですね。だからでしょうか,検索すると比較的最近の記事が見つかります。というわけで,こちらもどうぞ。

なぜ現代の私たちが鈴木大拙を読むのか 英語圏向けに書かれた『禅による生活』から考える(じんぶん堂)
https://book.asahi.com/jinbun/article/13894242

禅を世界中に広めた大拙が私たちに伝えたかったこと(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000300.000018193.html

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