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9月25日 運を強くするには人の道を守ること

「1日1話,読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より,大和ハウス工業会長兼CEOの樋口武男さんです。
※肩書は『致知』掲載当時のものです。

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樋口武男さんの記事はこちらから。
樋口武男の記事一覧|プレジデントオンライン
大和ハウス工業株式会社 樋口武男|賢者グローバル
大和ハウス入社後,三十六歳で支店長になったことをきっかけに,創業者の石橋信夫氏から経営について指導を受けるようになります。大和ハウス工業の専務当時,赤字状態だった関連会社「大和団地」の再建を命じられ,2年目に黒字化,7年目に復配。その後,大和ハウスと大和団地の合併を機に,社長に就任されました。

 石橋信夫氏とのやり取りや学んだことなど,どのエピソードも惹かれるものがあります。プレジデントオンラインは無料だと全部は読めないのですが,それでも引き込まれるものがありました。是非ご覧ください。

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「365人の仕事の教科書」には,樋口さんが福岡で支店長をしていたときの忘れられないお客様とのエピソードが書かれています。

 工学博士だったお客様のOさん。リタイア後は先祖の残した山を開発してたくさんの宅地を持っていました。それをわが社で売らせてくださいと飛びこみ営業に行くも門前払いに。他社も数社訪れたらしいが,皆同じように家に上がらせてもらえませんでした。

 しかし,通い詰めたある日,ようやく玄関先で話せるようになり。さらにはある日,部屋に上がってお話しできるようになったのです。

 そうして仕事をいただいて,息子のように可愛がってくださるようになった頃,Oさんは,
 「私の資産は二十,三十億あるでしょう。それを全部あなたに託してもいいから,独立して会社を起こしたらどうですか」

・・・さて。みなさんなら,どうしますか?
もともと自分の会社を持ちたいという気持ちで社会に出た樋口さん。『喉から手が出るほどありがたいお話でした』と仰っていますが・・・

 よくよく考えてみても,会社が自分を必要としてくれていることは分かっていました。世話になった会社に後ろ足で砂をかけるようなことをしては人の道に外れるのではないかと思いまして,翌日,
「大変ありがたいお話ですが,これからも先生とは”大和ハウスの樋口”としてお付き合いさせてください」
と,お返事しました。

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 ちょっとここで,樋口さんが初めて支店長になったときのこと。日本一を目指して営業の先頭に立ち,やる気のない部下を叱り飛ばしたり,時には手を上げたり。しかし,樋口さんが張り切れば張り切るほど,部下はついてこなくなる。思い悩んでいた就任半年のタイミングで,創業者の石橋信夫社長が視察にやってきた。
 視察を終えた日の夜,湯船に浸かった社長の背中越しに樋口さんは弱音を吐きます。「支店長がこんなに孤独だとは思わなかった」と。
 すると石橋社長が一言。
「樋口クンな,長たるものは決断が一番大事やで」
 その一言に「信念をもって進め」と背中を押された気がした樋口さん。人を動かすのは率先垂範とコミュニケーションである,と考えて社員一人ひとりとマンツーマンで対話をすることにします。支店長としての自分の思いだけでなく,社員の気持ちにも耳を傾けて,互いに本音で話せるようにしたのです。このときから樋口さんは,徹底対話によるコミュニケーションで組織を活性化してきたのです。

これって,コーチングや1 on 1みたいですね。
自分の思いを伝えるだけでなく,社員の気持ちを聞こうとしているところが,他と違う。

 なぜ,樋口さんはOさんとお話しできるようになったのか。他の営業マンとは何が違ったのか。その理由がこの「徹底対話によるコミュニケーション」にあるような気がします。樋口さんは自社について伝えようとするだけでなく,Oさんの話を聞こうとするコミュニケーションをしていたのではないでしょうか。そんなところも含めて,「私は何万人もの人に会ってきたが,あなたのような人は初めてだ」とOさんに言わせたような気がするのです。

 樋口さんも創業者の石橋社長も,周囲の人を大切にすることや,社会人として公正,公平であることを大切にしていることがわかるエピソードが出てきます。

 オーナーも事あるごとに「樋口君も運のいい人と付き合え。運の悪いやつと付き合うと運を取られるぞ」と言っていましたが,要は人の道を守らない人間に運なんてついてこないですよ。それと,親を大切にしない人間が他人様を大事にできるわけがないですよね。親を大切にするというのは恩ある人を大切にするということです。だから,世話になった人に後ろ足で砂をかけて逃げるようなことは絶対にしてはいけない。
運を強くするには人の道をちゃんと守ることが一番大切だと思います。要するに人として当たり前のことを当たり前にする,凡事徹底ということです。

 このnoteを書くためにいくつかのWebサイトを見ましたが,心に刺さる言葉にたくさん出会うことができました。新しい手法や取り組みもいいけれど,自分の心の根本・在り方を問うような学びも大事。
 私はどうありたいのか?
 私はどうあるべきなのか?
日本の激動の時代を駆け抜けた経営者たちから学ぶことは,まだまだたくさんあると感じます。

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