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8月18日 頭の強い人と弱い人

「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より,ナノ医療イノベーションセンター センター長の片岡一則先生です。

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 片岡先生は,ナノマシン技術を応用した薬剤デリバリーシステム(DDS)の開発や, 高分子ナノテクノロジーを利用した再生医療の研究を行っています。
 ナノ医療イノベーションセンターの片岡・喜納ラボのページはこちら。
https://iconm.kawasaki-net.ne.jp/laboratory_kataoka.html
 私の大学時代の専門は有機化学。今は,授業でフラーレンが出てきたときはDDSの話をするのでちょっと嬉しい。
 ラボのページを見ると,現在は高分子ミセルを扱っている様子。狙ったところに薬を届け,狙ったところだけで薬の効果を発揮させるというシステムの実用化に向けた研究を行っていらっしゃいます。

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 僕はよく学生に言うんです。「東大生は頭はいい。でも,頭の弱い人がたくさんいる。頭の弱い人にはなるな」って。
 頭はいいからいろんな知識を持っていますよね。そうすると,何か壁に直面したときに,これをやってもうまくいかないんじゃないかと思って,なぜできないかってことを滔々と語るわけです。で,違うことを次にやり始める。それを繰り返して,結局一つのことに執着できなくなり,評論家になってしまう。そういう人は頭が弱い。
 だから,頭はいいけど頭が弱い,これは少なくとも研究者としては最悪なんです。当然,頭がいいに越したことはない。ただ,やっぱり頭が強くなければなりません。絶対に諦めない,ブレないという姿勢でやっていると,必ず見つかるんですよ,一見何もないようなところから宝の山がね。

 「頭が弱い」という表現は,この4文字だけを読むと誤解を招きそうで怖い。是非,太字部分だけでも読んでほしい。そして,片岡先生がおっしゃる「頭の強さ」の意味を読み取ってほしい。

失敗や予想と違う結果が出たときに,きちんと受け止める強さ
やっていることに自信を持って,諦めない強さ
手にした課題に対する情熱を絶やさない強さ

片岡先生がおっしゃる「頭が強い」とはこういうことではないだろうか。

「365人の仕事の教科書」では,片岡先生が学生の時に,有機化学の権威である向山光昭先生が語った言葉を紹介しています。

実験結果をありのまま見る素直さ,絶対に成し遂げるという情熱,何度失敗してもめげない明るさ。この素直さ,情熱,明るさが有機化学者として成功する条件だ。

 昨日の「結果のコミュニケーション」のお話とも繋がります。
 「実験結果をありのまま見る」というのは,「目標を立てて行動に移して,その結果を検証する」というプロセスと同じ。ミスや失敗に目を向けるのは誰でも辛いもの。それでも目を向けて考えて,検証するには,そういう文化があるからこそだと思う。

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 片岡先生は「失敗したりした時はもっと嬉しい」とおっしゃっています。

 失敗したりうまくいかない時はもっと嬉しいんです。
 そこには必ず理由があるわけで,なぜできないんだろう,なぜこんなふうになってしまったんだろうと突き詰めていく。
 そこから新しい発想や成功に繋がるヒントが生まれてくるんです。

 この気持ち,よくわかる。授業で生徒実験を行ったとき,データが理論値からずれたり,予想通りの結果にならなかった時のほうが,その後の考察が盛り上がる。私は,教科書通りの結果にならなかったときに,その因果関係に興味を持つようになってほしいと思っています。
 プリントに「失敗して残念」ではなく,「○○が原因で失敗した」「△△が理由で,違う結果になった」と書いてほしいし,そのように指導をします。
 予想通りの結果が出ないと,まるで自分がダメな人間かのように感じるのでしょうか。そうではないことを,生徒実験をとおして伝えたいと思っています。

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目の前の出来事を素直に受け止める。
情熱を持ち続ける
常に明るい

 片岡先生は「運を掴む」上で,この3つが大事だとおっしゃっています。間違ったことをやり続けないように。ただの頑固者にならないように。頭を強く持つけれど,柔軟性は忘れない感じかな?

あなたが「頭を強く」しているのは,どんな時ですか?
あなたが,今,一番情熱を注いでいるのはどんなことですか?
あなたの身近にいる「頭が強い人」は誰ですか?どんな人ですか?

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