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時間についての考察(1)

理系少年だった僕にとって、科学技術への興味は常にありました。その中で今だに強く魅了されるテーマが、時間について、です。

ドラえもんのタイムマシン、バック・トゥ・ザ・フューチャーやターミネーターが描く過去や未来の姿。エンタメ作品には時間を扱ったものが多くあります。よくよく考えてみると、理解できそうでできない、なんとなくわかるようでわからない気にさせられます。

この掴みどころのない感情を持て余し、科学の知見に手を出すと、急に難しい話になって理解できなくなってしまう。もっと身近に、日々の生活から時間というものを考えてみようじゃないかというのがこの企画です。

私たちは、どのようにして時間が流れていると認識しているのだろう。この疑問からスタートしてみましょう。

今、何時なのかを知るには時計を見ます。時計がなかったら?正確な時刻はたちまちあやふやになってしまいます。それでも、今が朝か昼か夜かというのがなんとなくわかったのなら、その根拠はなんでしょう。

窓の外を見て、外の様子が明るいか暗いか、気温の変化はあるか、他人の活動の気配はあるかを探る。同時に、自分の体に起こる変化を感じます。腹が減った、尿意を覚えるという生理現象の知覚です。でも何れにしてもあやふやな感覚であることは否めません。

仮に、全く陽が差さない、温度の変化にも乏しい洞窟のようなところにいたとしたら、時間の流れを知ることは難しくなります。それでも、腹が減る、呼吸している、心臓が鼓動しているといったことで、時間が過ぎていく、過去から未来へと流れていることだけはわかります。

私たちが時間の流れを認識しているのは、私たちの体の変化を知覚しているからなのではないだろうか。

では、体が存在せず、意識(魂)だけの状態が起こり得るとして、その意識は時間の経過を知ることができるだろうか。外からの情報がない状態では、それはかなり難しくなる気がします。頭の中で数字を数えたら、それで時間の経過がわかるでしょうか。というか、そもそもそのような状態で時間というものは意味を持つのでしょうか。

肉体がなく精神だけの存在があるとして、そうなった時にも時間の流れを感じるには、やはり外の世界に触れることが条件になるでしょう。

では外の世界では、いつも変わらず時間が過去から未来へと一定の速度で流れてるのでしょうか。

こういうことをダラダラと考えていこうと思います。

作品紹介 映画『キャスト・アウェイ』

2000年アメリカ 主演:トム・ハンクス 監督:ロバート・ゼメキス

飛行機事故で、ただ一人無人島に流された主人公のサバイバル劇。出ずっぱりのトム・ハンクスの、大自然の中での一人芝居に圧倒されます。髪や髭が伸び、痩せて日焼けした筋肉質の彼の肉体からは、彼が過ごした時間の経過が伝わってきます。