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「お前が言うな」的返しに反撃する理論武装

何かしらの意見を表明したときに「お前が言うな」と反論されたとします。これは意見内容と発言者の立場を混同することを是とする態度です。

例えば、よく遅刻をしてくる人物が、他人の遅刻を咎めた場合、「いやいや、お前こそ改めろよ」と言われても、それは文句は言えないでしょう。

「お前が言うな」は、このようなシンプルな事案では有効です。これは自戒を促す常套句だからであって、むしろこの言い分が成立しない場合も結構多くあると思います。

こんなことを考えたのは、今日、地元の方とちょっと話す機会があって、若者は都市部に流出していく、でも逆に都会から地方へ移住したいという人もいる、という話で、その方曰く、部外者と話していて感じる祖語として、相手は意見ばかりは言うが、ではあなたには何が出来るんですか、と問いたい気持ちがある、というのです。

その時は軽い立ち話だったので議論には至りませんでしたが、その言葉がずっと引っかかっていました。

僕は東京郊外から、現在住むこの北陸の県に来て、そろそろ10年になるので、他所者の気持ちがよくわかるし、ずっとそのことを考えているので、今ではそれを言語化できるようになりました。

都市部に生まれ育って、でも人間関係に疲れたり、農林水産業に興味が湧いて、やってみたいなと思ったり、そういう人々は多くいると思います。そういう人に対して、「この土地に来てあなたには何が出来るのか」と問うのは酷です。

知らない土地で自分に何が出来るのかなんてわからない。例えば、他所の家に嫁ごうというお嫁さんがそんなことを言われたら、もう行く気を無くしてしまうんじゃないかと思ってしまいます。

色々と意見を言う人物に対して、ではあなた自身はどうなんですか、と問いたい気持ちはわかるのですが、これは簡単には混同しないで欲しい。「あなたはどうなの」と問うたら、相互理解を阻害することになりかねない。「それは相手の発言を封じることになりませんか」と反論したいところです。

「そう言うお前はどうなんだ」論法による攻撃を受けたら、以上のような理論武装を展開してみてはどうでしょう。手間のかかる説明ですが、相手にわかるように話してみれば、もうそれ以上反論はできないんじゃないかなあ。