運動強度の設定について

① %VO2maxとVO2reserveの違いは低い運動強度において問題となる
② HRRを用いた運動強度の設定と、最大心拍数に対する割合で運動強度を設定する方法の差異は、競技レベルが低いほど、また、運動強度が低い際に、問題となってくる

カルボーネン法で定義されるような運動強度の設定方法は以下。

Target HR = MinHR + (MaxHR-MinHR) * k
ここでTargetHRは指定の運動強度となる心拍、kは運動強度
MaxHRは最大心拍数、MinHRは安静時心拍数

で、このMaxHR-MinHRをHeart Rate Reserve (HRR) と呼んで、
このHRRが%VO2maxとほぼ一定の値を示すという知見から、%VO2maxで指定されるようなトレーニングを行う際に、HRRを指標にして計算を行ってきた

たとえばダニエルズのEペースは%VO2maxでは59-74%なので、
max 200, min 40のひとにとっては、136-160くらいで運動を行えばいいことになる。

で、こんな論文が出ている。

"Heart rate reserveは%VO2maxではなくて、%VO2reserveに等しい"

という論文である。これが1997年代に出ている。

ただし、これがそこまで問題ならないのは、VO2maxが安静時のVo2が3.5 ml/kg/minとかで、HRRとか気にして練習しだすようなアスリートはほとんどVO2 maxが60とか超えてくるので、安静時の心拍数は小さな値となるので問題が無い、ということになります。

じゃあこの差異が問題なってくるのはどの時でしょうか?

%Vo2max - %Vo2reserve 
= VO2 max * k - (3.5 + (Vo2max - 3.5)*k)
= VO2max * k -3.5 -Vo2max * k + 3.5 * k
= 3.5 (k-1)
%Vo2max - %Vo2reserve / dk = 3.5

ということで低い運動強度で運動する時に問題になりそうですね。

まぁ、実際にはHeart rate reserveを意識して運動するときは大抵高強度練習なので、あまり問題にならないということですね。

ちなみに、小学生レベルの計算ですが、最大心拍数に対する割合と予備能に対する割合で差異についても考えてみると、

Difference
= %HRmax - %HRreserve 
= HRmax * k - HR min - (HRmax -HRmin)*k
= HRmin * (k-1) 

なお、ここでkは常に0<k<1であるから、Difference < 0であり、
%HRmax < %HRreserveが成り立つ

ということでHR minが大きければ大きいほど (はじめたばかりであればあるほど)、kが小さければ小さいほど(運動強度が小さければ小さいほど)問題になってくる(=強度が充分確保できていない)。

うーん、これも問題にならならそうな気がしますね。

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