背中を押されて、カウンセリングを受ける ~植本一子『愛は時間がかかる』~
対処の仕方が分からない、つらい気持ちを抱えているなら、
植本一子『愛は時間がかかる』を読んでみていただきたい。
わたしは『愛は時間がかかる』を読んで、
カウンセリングを受け始めた。
先日から、心理カウンセリングに通い始めた。
心理カウンセリングを受けることを考えてはじめてから、3年が経っていた。
はじめて、心理カウンセリングを受けることを考えたのは、就職活動がきっかけだった。
自分の強み・弱みや志向を考える一環として、
幼少期から現在までの出来事を書き出す「人生の棚卸し」をした際に、
家族に対して大きなコンプレックス(複合感情)があることに思い至った。
そのコンプレックスは、家族関係だけでなく、
人との関わり全般や、様々な行動選択に影響を及ぼしていて、
いわば、わたしの「根っこ」だった。
そして、その「根っこ」が健やかになれば、
よりよい状態になれるのではないかと思った。
心理カウンセリングを受けることに思い至り、
経験がある知人に、おすすすめのセンターを教えてもらった。
ネットで検索して、あとは予約の電話を掛けるだけだった。
でも、電話はかけられなかった。
そのまま、時間は過ぎて、
わたしは大学を卒業して、会社に就職した。
わたしが就職した会社には、外向的で親切で、
仕事も遊びも全力なバイタリティ溢れる人が多い。
彼らと接していると、元気をもらえる一方で、
しばしば「わたしとは違う」と思ってしまった。
「この人たちは、愛されて、認められて、背中を押されて生きてきたんだ。だから、こんな風にできるんだ。」
わたしはコンプレックスの存在は自覚していたけれど、どう対処すればほどけるのか、分からなかった。
そんなとき、
インターネットで見かけた帯に興味を惹かれて、
植本一子『愛は時間がかかる』を手に取った。
誰かのつらさに、大きいも小さいもない。
3カ月にわたる、トラウマ治療の記録。
植本さんがトラウマ治療を通して、心の安定を得ていった体験談を読み終わったときには
「心理カウンセリングを受けてみたい」という気持ちが芽生えていた。
そして、読了直後の勢いのまま、
植本さんの対面トークショーに参加。
植本さんは想像していた人物よりずっと、しっかりした人という印象だった。
(考えてみれば、たくさんのことを感じて考えて書いている人なのだから、しっかりしているのは当たり前なのである。)
対面トークショーの後、サインをもらった。
「ありがとうございました」を伝えて、多くは話さずに会場を出た。
帰り道、一駅ぶん、夜道を歩いた。
途中、ふとどんなサインを書いてくれたのか、気になった。
漢字? 英字? 筆記体?
本を開いてみると、サインには、言葉が添えられていた。
自分に時間をかけて
植本一子
読んだ瞬間、
動悸がして、思わず本を閉じた。
鼓動がゆっくり戻ったとき、
心理カウンセリングを受けることを決めていた。