マーダーミステリーにメタ要素は必要か否か
「メタ発言をする/しない」ということについて綴ります。ロールプレイに紐づく要素かと思っておりまして、とはいえ別個で考えた方がわかりやすいかな、と。今回の記事もあくまで個人的な考えなので、一緒に遊ぶ皆さんに強制するものではありません。
■そもそも「メタ」とは
「メタ」とは、ある事象に対する異なる次元からの観点という意味である。
ということです。……ちょっと、分かりにくいですね。
たとえばTCG(トレーディングカードゲーム)の世界にもメタゲームという用語があり、MTG Wiki(http://mtgwiki.com/wiki/)から引用してみます。
簡単に説明すると、トーナメントで選択されている使用デッキや使用カード、プレイングなど(これらの傾向を俗に環境とも呼ぶ)を考慮した上で、それらに対して有利なデッキ、カード、プレイングなどを選択することである。より簡単にジャンケンで例えるなら「グーを出す人が多い(多そう)だから、自分はパーを出す」という選択である。
上記を補足すると、
通常のTCGの対戦は、1対1の戦いです。ですが、メタゲームとなると、その戦いを制する、だけではなく、トーナメント全体を見越して自分が戦う戦略を選ぶ、ということになります。本来であれば目の前の対戦相手がどんなデッキを使ってくるかは分からないところを、それをどう読むのかという部分がメタ読みというわけです。そのカードプール内の環境で、強いデッキに対して弱点を突くデッキで対抗する、しかし弱点を突けないと弱いため、強いデッキ以外の普通にデッキに負けてしまう、なんてこともあるので、誰がどのくらいのデッキを選ぶか、ということから考えるわけです。
結局分かりにくいですね、次に行きましょう。
■マダミスにおいての「メタ」のあれこれ
マダミスにおいてのメタ要素ということで書いてみましょう。
前回のロールプレイ(https://note.com/one_hayato/n/ncd1096149c32)の記事のようにこのメタ要素・発言に関しても、細分化が可能です。
①プレイヤーの癖で推理をする
例:この人(プレイヤー)が言葉を濁している時はたいてい嘘を吐いている、など
②リアル知識を利用する
例:小学6年生のキャラクターだけどなぜか学習していない社会的な知識を喋ってしまう、など
③ゲーム的要素で推理する
例:あのキャラクターにはミッションが無さそうだから、きっと犯人では? など
④時事ネタを発言する
例:世界観が幕末の設定なのに現代の知識を発言する、など
他にも色々あるかもしれませんが、ざっくりとこんな感じかと思います。それぞれ詳しく解説していきましょう。
①プレイヤーの癖で推理をする
例:この人(プレイヤー)が言葉を濁している時はたいてい嘘を吐いている、など
ということで、人の癖を読んで、それを推理に役立てることです。他にも汗をかいてそれを舐めて「この味は!………ウソをついてる『味』だぜ……」とかね(セクハラで通報されます)。こういった外的要因による推理誘導がなされてしまう場合の問題点は、ゲームデザイナー・シナリオライターが想定していない進行になる可能性がある、こと。まさに異なる次元からの観点ですね。
でも、ついついやっちゃったりするんですけどね……自戒自戒。
②リアル知識を利用する
例:小学6年生のキャラクターだけどなぜか学習していない社会的な知識を喋ってしまう、など
このように、そのキャラクターが知りえない情報や知識を使うことです。
これに関してはちょっとだけしょうがない部分もあると思っています。キャラクターシートやハンドアウトを汲み取ってキャラクターの発言をするんですが、やはり発言の語彙力などはプレイヤーに依存してしまいます。キャラクターになりきろうとしても限度がある(人により強度が変わるのであれば、それこそ限られた人間しか遊べなくなる)ということも含めると、ゲームの性質上、仕方がないことだと思います。したがって、リアル知識に関しては自然と使っているので、発言として控えるという対応が無難、かと。
脱線しますが、逆の問題も。リアル知識が足りていない場合です。例えば医者のキャラクターをプレイする場合、キャラクターが持ちうる知識を、そのプレイヤーが持ち得ていない状況が多々ありえるでしょう。たとえば、詳しい病名であったり治療法を知っている立場なのに、キャラクターシート自体には記載が無ければそれを語れません。むろん、そういった要素が不要なようにシナリオは作られるべきですが、立ち回りなどで困ることなどがあるので言い訳などに苦慮します。
③ゲーム的要素で推理する
例:この人にはミッションが無いから、きっと犯人では? など
ゲーム的概要で推理することです。例えば、たいていのマダミスは、各キャラクターには犯人を捕まえる以外にもなんらかのミッションが設定されています。したがって、ミッションが明確にあると判断できるキャラクターを犯人ではないということで消去していくと、残ったプレイヤーは犯人の可能性が高い、というゲームの構造上で推理できたりします(もちろんそれを逆手に取ったシナリオもあります)。
他にも、単純に犯人のキャラクターシートはテキスト量が多めなので、読み込み時間が長い場合に犯人として疑われたり、すぐに読み終わったから犯人候補から外れたり、それを逆手にとって犯人だけどすぐに読み終わったフリをしたり……。
さらに突っ込んでいくと、例えば情報をカード取得で進行するタイプの場合、そのカードを取る順番や挙動も覚えておいて推理する……ま、ここは微妙な所で、この行動も含めて推理要素ですというゲームもあるので、一概には断定できないですね。
個人的にはこういった要素で推理ゲームをしたいとは思わないので、ある程度フラットな感覚で気にしないようにして遊んでいたりします。
④作品の世界観を意識しない発言をする
例:世界観が幕末の設定なのに現代の知識を発言する、など
②と多少被る部分もありますが、世界観にそぐわない発言などをすることで(リアル知識を利用することで)作品の世界観を崩してしまうことがあります。
単純に「時代劇なのに英単語を喋る」とかですが、発言以外でも「時代劇なのに腕時計を出して時間を確認したり/スマホを取り出したり」というのもメタ要素になります。これらは、推理ゲームとして大きな影響は与えませんが、雰囲気を損なうというロールプレイ側面に影響があります。とはいえ、個人的にはゲームとして遊ぶ以上、そこまで厳密に制限する必要は無いかな、とも思っています。ほら、通常遊ぶ際も普段着で色々な時代のキャラクターを担当するわけですからね。気にしていたらキリがありません。ロールプレイ側面に繋がるため、このあたりは遊ぶ前の共通認識を擦り合わせることで、事故を起きにくくするのが良いと思います。
■結局「メタ要素」はありなの?
ごめんなさい。結論は出ません;;
ここまで書いておいて、なんだよーって感じだと思いますが、個人的な感覚としての結論をお伝えすると、①だけはやらない方がいいな、と。それ以外は遊ぶ環境に合わせて調整する、のがおすすめです。
②は述べた通り、結局ゲーム構造としてリアル知識を利用せざるを得ないので許容。だからといって、むやみやたらとそれを発言するのは世界観が壊れるので控えるべき、かな。ある程度、思考としては利用するが、発言としては控えるのがベターという感じです。
③も②のリアル知識の延長みたいなものなんですが(ゲームの構造をリアル知識で理解し推理する)、プレイ回数が多ければ多い程、過去の統計から答えがはじき出せるようになってしまいます。自分としては、あまり考えないようにして遊んでいますが、別にそれを利用して推理をする人を否定するわけではありません。あくまで自分が楽しむのであれば、ある程度フラットに作品に向き合うのが楽しいと思っています。
④に関しては、一緒にプレイするメンバーによる、としか言えません。全員が昔馴染みでプライベートも仲良しであれば、むしろプレイヤーいじりをして楽しむのも良いでしょう。逆に複数人プレイの作品で2人だけ身内ネタで笑いあっていたら……他のプレイヤーと温度差が生まれるのでお勧めはしません。
■結びとして
「メタ発言をする/しない」
としての結論自体は、ロールプレイを遵守したい場合は、極力避ける方が良いはずです。
とはいえ、プライベートなネタを軽口叩きながら遊ぶというのだって共通認識であれば問題ありません。むしろ、そういったことを言い合ったりするのが楽しい局面も多々あります。自分の実体験として。基本は、遊ぶ環境を鑑みて擦り合わせをすれば事故は軽減できます。
そういったものをGMさんが事前にフォローしてくれたりするので、いつも助かっています。ありがとうございます。