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英国経済の2025年見通し:課題と回復の可能性

英国経済は依然として厳しい状況に直面しているが、成長回復の兆しも見られる。主要な経済機関の最新予測をもとに、2025年の英国経済の見通しを分析する。

国際通貨基金(IMF)は、英国の実質GDP成長率が2025年に1.6%となると予測しており、2024年の低成長からの回復を見込んでいる。一方、KPMGは2025年の成長率を1.7%と予測し、個人消費と政府支出の増加が成長を支えると分析している。これに対し、ゴールドマン・サックスはより慎重な見方を示し、1.2%の成長にとどまる可能性があると予想している。英中央銀行であるイングランド銀行(BoE)は1.5%の成長を見込んでおり、民間予測とやや異なる見解を示している。

インフレ率の動向も依然として英国経済の大きな課題となっている。経済協力開発機構(OECD)によると、2025年の英国のインフレ率は平均2.7%と、主要7カ国(G7)の中で最も高くなる見通しだ。特に、賃金上昇とサービス価格の上昇がインフレ圧力を維持する要因となると指摘されている。

英国の金融政策は2025年にかけて緩和傾向を強める見込みだ。BoEはすでに利下げを開始しており、KPMGは2025年末までに政策金利が4.0%まで引き下げられると予測している。これにより、企業や家計の借入コストが低下し、経済活動を刺激することが期待される。

英国政府は成長促進のための財政政策を打ち出しており、国家経済社会研究所(NIESR)によると、2025年4月以降、年間320億ポンド(約6.2兆円)の追加財政支出が予定されている。この支出は、家計消費の押し上げや公共部門の拡充につながると見られるが、一方で、民間部門の成長を抑制する可能性も指摘されている。

英国の労働市場は依然として堅調で、低失業率が賃金の伸びを支えている。インフレ率と金利が低下するにつれて、実質所得が回復し、個人消費の持続的な成長を後押しする可能性がある。

しかし、英国経済は依然として多くのリスクに直面している。OECDは、世界的な貿易摩擦やエネルギー価格の上昇など、外部要因による影響を警戒する必要があると指摘している。また、英国政府の財政余力が限られているため、今後の景気悪化に対応する余地が小さいことも懸念材料となっている。

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