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ドイツ財政政策が歴史的転換へ、増大する財政支出と欧州経済への波及

厳格な財政規律で知られてきたドイツが、次期総選挙を機に伝統的な財政保守主義から脱却し、政府支出を拡大する政策に転じる可能性が高まっている。

メルケル前政権の象徴であった財政均衡政策「ブラックゼロ」から離れ、インフラ整備や再生可能エネルギー、コロナ禍後の経済再生に対する大規模な政府投資に舵を切る構えだ。

この方針転換は、欧州全体の動向とも一致し、ドイツ経済にとどまらず、EU加盟国の財政運営にも大きな影響を及ぼすと予想される。金融市場ではすでにこの変化が意識されており、政府支出拡大を見越した債券利回りの上昇やインフレ期待の高まりがみられる。

政策転換によって、テクノロジーやインフラ、環境関連分野は恩恵を受ける見通しだが、同時にインフレ圧力の増大や借入コストの上昇といったリスクも伴う。

EU内でも財政政策の柔軟化が進む可能性が高まる一方で、ドイツが財政規律維持の役割を弱めれば、長期的な債務管理への懸念も生じるだろう。

今回の選挙はドイツだけでなく欧州の今後10年間の経済政策の方向性を占う重大な分岐点となりそうだ。

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