
バルト三国、ロシア電力網から完全離脱 EU電力網への統合準備
エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国は、2025年2月8日をもってロシアの電力網から完全に切り離された。
これにより、旧ソ連時代から続いていたロシアの電力システム(IPS/UPS)への依存が終わり、欧州連合(EU)の電力網への統合が現実のものとなる。
EUの電力網への最終接続は2月9日に予定されており、技術的な最終テストが行われる見込みである。
この移行計画は長年にわたって進められてきたが、2014年のロシアによるクリミア併合、さらに2022年のウクライナ侵攻を受け、エネルギー安全保障の観点から加速された。
2018年以降、バルト三国は電力網の近代化に約16億ユーロ(約2500億円)を投資しており、その大部分はEUからの資金援助によるものだ。
この離脱により、ロシアの飛び地であるカリーニングラード州の電力供給にも影響が及ぶとみられている。
同地域はこれまでバルト三国を経由した電力供給を受けていたが、ロシア政府は約1000億ルーブル(約1600億円)を投じ、ガス火力発電所の建設など独立した電力供給体制の構築を進めてきた。
バルト三国の今回の決定は、ロシアへのエネルギー依存を断ち切ることで安全保障上のリスクを低減し、欧州エネルギー市場への統合を進める重要な一歩となる。
これにより、域内の電力供給の安定性が向上し、EU全体のエネルギー政策とも連携が強化される見通しだ。
EUのウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、2月9日にリトアニアの首都ビリニュスで行われる式典に出席し、新しい電力網の完成に祝杯を贈る予定だ。