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ドイツの若年層で政治的分極化が進行-伝統的中道政党離れが顕著に
ドイツの若年層において、伝統的な中道政党からの離反が進み、極右および極左政党への支持が拡大している。特に、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と極左政党「左翼党(Die Linke)」の両極端への支持が増しており、この傾向は最近の連邦議会選挙においても明確に示された。
AfDは若年層の間で過去最高の支持率を獲得する見通しであり、特に30歳未満の有権者からの支持が顕著だ。同党はTikTokなどのSNSを積極的に活用し、若年層に訴求する「シンプルな解決策」を提示することで、従来の政治に対する不満を抱える若者を取り込んでいる。この傾向は、経済の衰退や人口動態の変化が進むテューリンゲン州などで特に顕著に見られる。
一方、左翼党も若年層の間で支持を伸ばしている。共同党首のハイディ・ライヒネック氏が保守政党とAfDの協力を非難する演説を行い、その内容がSNS上で拡散されたことが大きな影響を与えた。同党は経済再分配、中絶の非犯罪化、無制限の庇護権を掲げており、既存の中道政党に失望した若年層の支持を集めている。最近の世論調査によると、左翼党の支持率は3%から7%へと上昇し、その伸びの多くが18歳から24歳の若年層によるものとされる。
この政治的分極化の背景には、複数の要因が影響している。
長期的な経済停滞と雇用機会の制限が、若年層に既存政党とは異なる経済改革を求める動機を与えている。
また移民政策や国家安全保障を巡る議論が若者の間でも分断を引き起こし、厳格な移民規制を掲げるAfDと、移民受け入れを推進する左翼党への支持が二極化している。
さらにTikTokやInstagramといったプラットフォームが政治的議論の場となり、特に周縁政党がこれを巧みに活用して若年層に影響を与えている。
このような若年層の分極化は、ドイツの政治全体にも波及する可能性がある。従来の中道政党への信頼が低下する中、政治の両極端への支持が強まることで、将来的に政策の大きな転換や政局の不安定化を招く可能性も指摘されている。