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日産自動車、米国での生産を25%削減—販売不振と市場競争が影響

日産自動車は、米国市場での販売不振を受け、完成車の生産を25%削減する計画を発表した。ただし、工場のラインは閉鎖せず、生産量の調整にとどめる方針を示している。さらに、希望退職者を募集するものの、レイオフ(一時解雇)には踏み込まない姿勢を強調している。

今回の生産削減には、米国の政治的要因が影響しているとみられる。トランプ政権は雇用創出と国内投資を重視しており、大規模なリストラや工場閉鎖は政治的に難しい判断となる。企業が大規模な解雇を実施すれば、政府からの圧力が強まる可能性があるため、日産は生産調整と希望退職にとどめることで、直接的なレイオフを回避したと考えられる。

日産の販売不振の要因は、単なる景気低迷だけではない。ブランド力の低下や競争力の不足が影響しており、生産調整のみでは根本的な経営改革につながるとは言い難い。

他の日本メーカーと比較すると、ホンダは米国市場での競争力を強化するため、より抜本的な改革を進めている。これに対し、日産の対応は限定的であり、今後の業績回復の見通しは不透明な状況だ。

米国市場では、トヨタ、ホンダ、ゼネラル・モーターズ(GM)などの競争が激化している。さらに、EV(電気自動車)シフトが加速する中、日産のラインナップが十分に対応できていない点も課題となっている。

日産はすでに「リーフ」などのEVを展開しているものの、競合他社と比較して商品ラインナップの強化が求められる状況だ。単なる生産調整だけでなく、新技術や新モデルの開発が不可欠となる。

日産がこのまま生産調整だけで乗り切ろうとすると、市場での競争力低下が懸念される。政治的配慮と経営改革のバランスをどのように取るかが重要な課題となるだろう。

ホンダのように、より積極的な経営再建策を進める可能性も考えられる。今後、日産がどこまで大胆な改革に踏み込むのかが、同社の米国市場での立ち位置を決定づけることになりそうだ。

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