
アクセンチュア、米国の政治情勢を考慮しグローバルなDEI目標を撤回
米国の政治環境の変化を受け、世界的なコンサルティング企業アクセンチュアが、これまで掲げていたダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の目標を撤回する方針を明らかにした。
同社のジュリー・スウィート最高経営責任者(CEO)は社内メモで、「最近の大統領令を含む法的要件に従うため、D&I目標を段階的に廃止する」と説明した。
これにより、特定の人種や性別を対象とした昇進支援プログラムの見直しが行われ、従業員の業績評価におけるD&I目標の使用も中止される。さらに、D&I関連の外部調査への参加や提携先の見直しも進める方針だ。
アクセンチュアは2017年にD&I推進のための具体的な数値目標を設定し、2025年までに従業員の50%を女性とすること、マネージング・ディレクター(幹部職)の女性比率を30%に引き上げることを掲げていた。当時、同社の女性従業員比率は41%、マネージング・ディレクターに占める女性の割合は21%だった。
今回の決定は、米国企業全体で進むD&I戦略の再考の一環ともいえる。最近では、メタ、マクドナルド、ターゲットなどの大手企業も、D&I関連の取り組みを縮小または撤回しており、政治的な圧力や法的環境の変化が企業の方針に影響を与えていることがうかがえる。
特に、2023年の米最高裁によるアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)に関する判決以降、D&I施策を見直す企業が増えている。
一方で、コストコやJPモルガン・チェースなど、依然としてD&I施策を堅持する企業もあり、対応は分かれている。