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ドイツ総選挙、極右政党躍進の衝撃―経済と安保の行方に世界が注視

2024年末にオラフ・ショルツ首相率いる連立政権が崩壊したことを受け、ドイツでは2025年2月23日、連邦議会選挙が実施された。最新の世論調査によれば、フリードリヒ・メルツ党首が率いるキリスト教民主同盟(CDU)が支持率首位を維持し、政権奪還へ向けて優位な情勢にある。一方で極右政党ドイツのための選択肢(AfD)は歴史的な高水準の支持率を得て、第2党として大きく躍進する勢いを見せている。現政権を率いた社会民主党(SPD)は第3党に後退しており、厳しい状況に直面している。

今回の選挙の焦点となっているのは、経済の停滞や移民政策、安全保障政策などの課題である。特にドイツ経済はエネルギー価格の高騰や製造業の競争力低下などの影響で成長が鈍化しており、有権者の間に不満が拡大したことがAfD支持の増加を後押ししたとされる。メルツ党首はAfDとの連立を明確に否定しており、「極右勢力との連立はあり得ない」と繰り返し述べているため、政権樹立のためにSPDや緑の党との連立交渉を模索する見込みだ。

また、国際関係においても注目が集まっており、特に米トランプ政権との外交関係の再構築が重要課題となっている。米独関係は近年、ウクライナ情勢や対中国政策などをめぐって意見の相違が目立っており、新政権がどのような姿勢を示すかは、欧州全体の安全保障にも影響を与えると見られている。専門家の間では「CDUが政権を獲得すれば、米国との協調路線を回復させ、ウクライナ支援の強化やNATOの防衛態勢強化など、積極的な安全保障政策を推進するだろう」との見解も出ている。

選挙結果は日本時間の2月24日(月曜日)未明に判明する予定であり、結果によっては欧州市場や金融市場にも大きな影響を与える可能性がある。経済界は新政権が打ち出す経済政策が、ドイツ経済の再生にどのような影響をもたらすかを注視している。

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