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日本政府とIAEA、福島第一原発の廃炉作業で協力強化へ

岩屋毅外相と国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、福島第一原子力発電所の廃炉・解体作業に関する協力を強化することで合意した。これは、2011年の福島原発事故の影響を安全に管理するという日本の方針を改めて示すものとなる。

今回の合意の主要な要素として、IAEAの専門知識を活用し、国際的な安全基準に沿った廃炉プロセスを推進することが挙げられる。技術的な支援や定期的な評価を通じて、複雑な解体作業の課題に対応する。また、トリチウムを含む処理水の海洋放出についても議論が行われた。IAEAはこの放出計画を監視し、安全基準を満たしていることを確認している。

福島第一原発の廃炉は数十年に及ぶ長期的なプロジェクトであり、現在進行中の主要な作業には以下が含まれる。

第一に、燃料デブリ(溶融燃料)の取り出しが挙げられる。東京電力は2024年9月、1号機での高放射性デブリの除去作業を再開し、廃炉作業の重要な節目を迎えた。また、汚染水の管理も引き続き大きな課題となっており、東京電力は高度な液体処理システム(ALPS)を用いて放射性物質を除去しているが、トリチウムは除去できないため、計画的な海洋放出が進められている。この放出は国際的な関心を集めており、IAEAの監視下で実施されている。

さらに、日本のエネルギー政策にも変化が見られる。政府は原子力発電の活用を再検討し、2040年までにエネルギーミックスの約20%を原子力が占めることを目標とするエネルギー計画案を提示している。これは温室効果ガス削減目標の達成やエネルギー安全保障の強化を目的とするが、地震活動の多い地域での原発利用に対する安全面の懸念から、環境団体や市民からの批判もある。

IAEAとの協力強化は、福島第一原発の廃炉に伴う技術的・安全面での課題に対処するために重要なステップとなる。また、日本のエネルギー政策全体において、安全性と環境負荷を考慮しつつ、エネルギー供給の安定性を確保するという広範な戦略の一環として位置づけられる。

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