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ドイツ、連邦議会選挙を実施-連立崩壊で政局再編へ
ドイツは23日、オラフ・ショルツ首相の連立政権崩壊を受け、連邦議会選挙を実施した。今回の選挙はドイツの政治地図を大きく塗り替える可能性があり、欧州および米国にも影響を及ぼすとみられる。現在、キリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)のフリードリヒ・メルツ党首が率いる保守陣営が約30%の支持率でリードしており、厳格な移民政策や一部の気候変動対策の見直しを公約に掲げている。
極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は約20%の支持を獲得する見通しで、反移民政策やEU懐疑主義を強調。与党・社会民主党(SPD)は3位に後退し、防衛相のボリス・ピストリウス氏がショルツ氏の後任候補として浮上している。一方、環境政策を重視する緑の党(アリアンス90/緑の党)はSPDと3位争いを繰り広げている。
主要争点の一つは移民政策で、アシャッフェンブルクで発生したアフガニスタン出身の亡命申請却下者による襲撃事件を受け、CDUは国境管理の強化を主張。AfDもこれを支持し、移民問題は選挙の焦点となっている。また、ドイツ経済は2023~24年の景気後退や産業生産の低迷、失業の増加に直面しており、財政赤字を制限する「債務ブレーキ」の緩和を求める声も強まっている。気候政策については、経済の安定を優先する観点から、CDUが一部の環境対策を見直す可能性を示唆している。
この選挙の結果は国際社会にも影響を与えるとみられ、特に米国ではJD・ヴァンス副大統領がAfDのアリス・ヴァイデル党首と会談したことが波紋を広げている。ドイツの主要政党は極右勢力との協力を避ける「防波堤」政策を維持してきたが、今回の選挙結果によっては政界の勢力図が大きく変化する可能性がある。
投票が終了し、開票が進む中、今後の連立交渉が焦点となる。CDU/CSUとSPDの大連立の可能性から、複数政党による複雑な連立まで、様々な選択肢が検討されることになる。ドイツの新政権の方向性は、今後の欧州政治および世界経済にも大きな影響を与えることが予想される。