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3Dインベストメント・パートナーズ、サッポロホールディングスの海外事業を批判 – 経営陣の責任を追及
シンガポール拠点の投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズは2025年2月18日、サッポロホールディングスに対し、同社の海外買収戦略を批判する書簡を送付した。書簡では「これまでの海外買収は失敗に終わっている」と指摘し、取締役会の責任を追及した。
3Dインベストメント・パートナーズは、サッポロの経営陣に対して継続的に懸念を表明しており、今回の書簡では以下の点を問題視した。第一に、資本配分の妥当性を巡り、海外投資が期待した成果を上げていないと批判した。第二に、取締役会の監督機能に疑問を呈し、海外事業拡大に関する意思決定の過程において適切なガバナンスが欠如していると指摘した。第三に、経営陣の海外買収に関する専門性を疑問視し、戦略策定と実行における透明性向上を求めた。
これに対し、サッポロホールディングスの取締役会は、これらの指摘は現在の企業構造と合致しないとして反論した。企業統治の強化と海外事業の管理体制改善に向けた取り組みを強調し、2025年1月には国際事業の意思決定の迅速化と質の向上を目的に、サッポロビール社内に「国際マネジメント委員会」を設立したことを明らかにした。
サッポロホールディングスは過去に複数の海外買収を行ってきたが、その成果には課題が残る。2017年に買収した米国のクラフトビール大手「アンカーブルーイング」は、米市場でのプレゼンス強化を狙ったが、2023年7月に事業を終了し、資産を清算した。2022年6月には1億6800万ドル(約220億円)で「ストーンブルーイング」を買収し、米国クラフトビール市場での拡大を図ったが、統合後の収益性確保が課題となっており、想定していた相乗効果の実現が遅れている。
2024年12月期の決算では、サッポロホールディングスの売上高が前年比2.3%増の5307.8億円となったが、営業利益は11.9%減の104.2億円、親会社株主に帰属する当期利益は11.6%減の77.1億円となり、収益性の低下が浮き彫りとなった。海外投資の不振が利益を圧迫している可能性がある。
こうした状況を受け、サッポロは2024年2月に不動産事業への外部資本導入を発表し、リソースを主力の酒類事業に再配分する方針を示した。この戦略転換は、収益性向上と株主の懸念への対応を目的としている。
3Dインベストメント・パートナーズとサッポロホールディングスの対話は、企業が成長戦略と株主期待、コーポレートガバナンスのバランスをどのように取るかという課題を浮き彫りにしている。