ONE REPORT:野菜ジュース購入者、本当に健康クラスター?
あなたが「健康に気を遣っている人」を探したいと思ったとき、どんな行動を取っている人を探しに行くでしょうか?
マーケティングの世界では、「〇〇という行動を取っているなら〇〇だろう」という推論から、「〇〇という行動を取っている人」をターゲットとする、という手法をよく取ります。
例えば「健康に気を遣っている人」が取る行動でパッと思いつくのは
などでしょうか。
そして次、「バランスの良い食事を取っている人」を探すにも推論です。
「バランスの良い食事を取っている人が取るであろう行動」を推測すると…
と、簡単に考えるとこんな感じでしょうか。
「よし、ではうちが作った新商品は健康に気を遣う人向けの飲料だから、
野菜ジュースを飲んでいる人に響きやすそうな広告を作ろう!」
と、こうなるわけです。
…さて、ここで出てくるのは以下のような疑問です。
野菜ジュースを飲んでいる人は、実際に健康に気を遣う人なのでしょうか?
・・・
体に悪そうな食べ物の購入率の違いを見れば…
ONEではユーザーのみなさんからレシートのデータを買い取っています。
野菜ジュースを購入しているユーザーも一定数います。
これをONEのデータを用いて検証してみました。
今回は、以下のような条件でデータを見てみます。
以下は各条件の商品詳細を記載しますが、結果が見たい方は飛ばしてください。
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結果1.
野菜ジュース購入者 = めっちゃポテチ食べてる
▼ポテトチップス購入者割合
正確には食べている、ではなく購入している、ですが、、、
全体が12%程度に対して、野菜ジュース購入者は28%、ヨーグルト購入者でも24%ほど。比較対象のおにぎり購入者では2割を切っています。
コンビニ利用者全体では、固定商品(朝のルーチンでの飲み物など)しか購入しない方などがいるでしょうから割合が小さいのも頷けますが、
【おにぎり購入者と比べても高い】 = 野菜ジュース・ヨーグルト購入者は、そうでない人よりもポテトチップスを購入する割合は高いようです。
…当初の想定と違います。。
いやいや、上記の値だけで野菜ジュース購入者が健康クラスターではない、と言い切れるでしょうか?言い切れないかもしれない。
もしかして【体に悪いと一般的に言われている商品】として、ポテトチップスを選んだことが良くなかったのかもしれません。
ということで、体に悪い(と言われる)食品で、もう一度試してみました。
・・・
結果2.
野菜ジュース購入者 = めっちゃカップラーメン食べてる
▼カップラーメン購入者割合
ポテトチップスと同じく、正確には食べている、ではなく購入している、ではありますが、、、
例としてあげた商品・ブランド数でカップラーメンを全て網羅しているわけではありませんが、左記商品の購入割合(期間中にどれかしら購入)をそれぞれで算出したところ、傾向はポテトチップスと同じでした。
つまり、野菜ジュース・ヨーグルト購入者はカップラーメンをよく購入するようです。
・・・
理由の考察:併せ買いをしやすい商品である…?
健康クラスターかどうかの結論は、皆さんの立場で変わるでしょう。
上記でとどめておくとして、なぜ想定と違う動きをしたのか、考察してみました。
今回の検証推論は以下ですが、
以下のように、反対側から考えてみました。
まず、前提としてコンビニの利用状況・目的を想定してみると、
などが挙げられます。
それぞれ消費者によっては目的が重複したり、飲み物【のみ】など、1つだけしかコンビニには求めない人がいたりと、様々な利用方法がイメージできます。
ここでカップラーメン購入者を上記の利用状況に置き換えてみると、
上の一覧で言えば
= 朝夜のルーチン・飲み物【のみ】購入する方ではないといえます。
そしてカップラーメンは、通常コンビニの奥側に配置されていることが多いこともあり、何かしら【のみ】を購入する消費者よりも、コンビニをよく歩く = 色々な商品を手に取るチャンスが多いといえるでしょう。
つまり、コンビニの利用状態として、単品やルーチンではなく「複数の商品を購入しやすい人」と考えることができます。
翻って、野菜ジュースはどうでしょう?
野菜ジュースのみを毎回購入する人も中にはいるとは思いますが
というパターンは、おにぎりやお茶などよりは多いのではないでしょうか。
上記のような併せ買いの可能性を加味すると…
こんな関連性があったとすれば、想定と逆に購入割合が高くなると考えることはできそうです。
・・・
結論:
野菜ジュース購入者を健康クラスターと定義するのは雑
データがレシート情報しかなく論拠が弱いため、理由についてはこれ以上強くは語れませんが、、、
本題に戻って、野菜ジュース購入者は、本来の意味の健康クラスターと言えるのでしょうか。
いや、せめて最低限、「健康クラスターを探したい」と話すマーケターが想定しているような購買傾向を持っている消費者と言えるのでしょうか。
正直、本質的にイメージされるような健康クラスターには入りにくい購買行動を取っているように見えます。
ただし、マーケターが探したい消費者がいわゆる健康オタクではなく、
本気で行動はしていないが、ふとした時には「健康」という言葉がちらつく一般の方であれば、野菜ジュース購入者というセグメントは良いターゲットになるかもしれませんね。
【健康クラスター】という命名は便利ですが、こういった名称は、読み手を上記のように勘違いさせてしまうことが多いように感じます。
マーケターの説明不足ないし認識齟齬が原因ではあるでしょうが、その原因は極力潰しておいた方が良いと思います。
定義は、明確にイメージを共有できるよう、多少長くても該当条件等はテキストに残し、いつでも関係者が見えるところに置いておく等、命名側が少し意識するだけで、現場の動きは変わってくることでしょう。
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いかがだったでしょうか?(少し文字が多かったですが…)
ONEでは、毎日全種類のレシートをユーザーの皆さんから買取り、回答いただいたアンケートの情報と併せて、多くの情報を分析しています。
今後も引き続き、データを分析・公開していきます。
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