ポップな世界の終わり方

A：世界の終わりってどんな感じだと思う？
B：なに急に。
A：ふと思ってさ。
B：病んでんの？
A：ちげーよ。ほら例えば、太陽に飲み込まれるとか、隕石落ちてきて気候変動とか。
B：んー、シンプル核兵器とか。
A：いや、人類滅亡とは違うのよ。
B：はあ。
A：地球そのものの。人類だけじゃなく全部の終わりって感じ。
B：知らねーよ。
A：何にしてもさ、痛かったり苦しかったりするのはイヤじゃん。
B：そらそうよ。
A：どうせならポップで楽しい終わり方が良いわけ。
B：どういうこと。
A：まず、攻めてくるのはカービィに出てくるギャラクティック・ノヴァみたいなやつ。

B：何これ。
A：機械感と生物感が融合していて、人類の叡智を超えたからくりがあって、とにかくデカい。
B：ほえー。
A：んでずっとDickiesの『Banana Splits』みたいな、ばりポップでわちゃわちゃしたBGMが流れてる。

B：あー、『キック・アス』でもあったやつね。このBGMだと怖いより、わちゃわちゃ感が勝つな。
A：で、こいつにどんどん吸い込まれるというか取り込まれるというか。こいつの中でみんなの共通意識の中で一つになるというか。
B：人類補完計画じゃん。
A：そうなの？
B：エヴァみがすごいよ。
A：知らんけど。とにかく痛かったり苦しかったりツラい感じじゃなくて、死というよりは最終的にみんなハッピーみたいな。
B：よくわかんねーな。
A：お前はどんな終わりがいいのよ。
B：別に考えたことないけどなー、でも今聞いてて思ったのは。
A：おお。
B：子供のお絵かきボードっていうのかな。

A：おお。磁石で絵が描けるみたいなやつか。
B：そうそう。で、これのつまみを引っ張ると一気に消せるのね。
A：ほう。
B：それみたいに、シャッ！て何もかも一気になくなる感じ。
A：はー。いいね。
B：もしくは単純に、ゲームみたいにシュンと消えるとか。ふわーと半透明になって天に召される感じ。
A：あー、よくあるやつ。
B：そうそう。とにかく俺も痛みや苦しさを伴わいやつがいいね。
A：やっぱそうだよなー。
B：でもなんでそんなこと考えてんのさ。
A：別に何もないて。
B：悩みあるなら聞くぜ。
A：ええ……
B：ほれ、かもん。
A：……
B：……
A：じゃあ……
B：おう。
A：正直いうとさ。
B：何でも言ってみいよ。
A：次のネタのオチが決まらなくてさ。
B：世界を滅亡させて終わりってなんだよ。
A：違う違う。
B：何がさ。
A：何においても終わりが事前に決まってた方が良いじゃん。
B：はあ。
A：ネタもそうだけど、普通に仕事とか計画とかもそうよ。
B：ほお。
A：何か始めた以上は、終わり方もちゃんとしたいわけ。
B：ほお。
A：自分の人生とか世界の最後とか、最後を見据えた上で日々すごしていきたいよね。
B：いやー、でもさ。わかってたら苦労しないだろ。
A：もちろん、そりゃそうだけどさ。
B：いつ終わるかわかんないから、毎日悔いなく人生やってきましょうて話じゃん。
A：それはわかってるって。
B：おい。
A：なんだよ。
B：……
A：……
B：死ぬなよ。
A：死なねーよ。最初から全然そういう話じゃないから。
B：そんなこと言ってフラグとか、やめろよマジで。
A：大丈夫だっつの。そういう意味ではすまん。変な誤解させたわな。
B：頼むぜマジで。
A：まかせろ。死なねえよ。
B：でもそうとも言い切れないじゃん。
A：何がよ。
B：病気とか病気とか、それこそ世界の滅亡とか。今日明日で何が起こるかもわからないわけで、そういう意味ても常に人生どんなアクシデントが起こるかわからないという前提で後悔しないように
A：あー、もううるさいうるさい。死なないから大丈夫よ。
B：何でそう言い切れるんだよ。
A：死んでるほど暇じゃねーからな。