真夏にヤギと選挙
A:ネタの相談していい?
B:おお、珍しいな。
A:これ間に合わなかったら闇バイトでもしなきゃやばくてさ。
B:絶対やめろよ。いい年こいた大人が闇バイトでつかまるなんてダサすぎるぞ。
A:ガキでもダメだけどね。
B:当たり前だよ。
A:とにかくやばい。
B:切羽詰まってんのね。
A:これだ、ていう感じのアイデアが出てこなくてさ。
B:ニュースとか身近なとこから考えてみたら?
A:最近忙しくてニュースとか全然知らないんだよ。
B:あそう。でもここんところめっちゃ暑いですねーとか、都知事選盛り上がってますねーとか、七夕ですねーとかさ。
A:なんかありきたりというか、それこそ変に政治語り出したらあぶない感じもあるし。
B:たしかになあ。
A:あとやっぱ俺のクリエイティブポリシーとして、流行り物とか政治ネタはやりたくないんですわ。
B:うるせー。調子こいてんなー。
A:させん。
B:そこまでいうなら、ほかの方向で考えないと。
A:うーん。
B:なんでもいいっちゃいいけどなあ。
A:……
B:……
A:ジャスティン・ティンバーレイクの件はもう遅いか。
B:よりによって、そこいく?
A:結構衝撃だったでしょ。
B:衝撃というか、いや逮捕のニュースでひさびさに名前聞いたわ。
A:ジャスティンといえば、いつの間にかジャスティン・ビーバーだもんな。
B:俺らが高校の時だから、ざっと20年前ね。
A:いま思えば何で男子高校生がアメリカのイケメンアイドルグループの歌聞いてたのか謎だけどな。
B:*NSYNC(イン シンク)ね。
A:なちー!初見じゃ絶対書けない読めないでおなじみの。
B:バックストリートボーイズね。
A:なちー!Offspringが彼らの人形をボコボコにしたと噂されるね。
B:いやいや。こんなんで盛り上がってどうすんだよ。ネタどうすんだ、て話だろが。
A:そだ、あぶね。
B:人を茶化すのはリスク大きいからなあ。ほかのテーマにしてくれ。
A:えーと、ビーバーを飼う話。
B:絶対、ジャスティン・ビーバーからきたろ。
A:そうだけど、ネタ見る人には関係ないじゃんか。
B:まあな。どんな展開よ。
A:ええと、そこら辺でばったりビーバーと会って意気投合して。
B:ムリヤリすぎるて。
A:その辺のイントロは適当に詰めるから。
B:入りは大事だろ。いきなりついていけないとつらいぜ。
A:一緒に暮らしてくうちにビーバーがどんどん大きくなって。
B:ほお。どれぐらいよ。
A:170cmぐらいかな。
B:ほぼ人間サイズじゃん。
A:体重は100kg超え。
B:え、相当でかいビーバーだな。
A:じゃれながらテンション上がるとこう鳴くのよ。
B:おお。
A:ヒーハー!
B:はい、なしでーす。
A:ダメか。
B:ダメだって。面識ない先輩イジるのは完全NGだろ。
A:憧れるじゃん。
B:それにしてもダメダメ。何言ってんだよ。ジャスティン・ティンバーレイクあたりからおかしくなってるわ。
A:あいつほんと。
B:あいつのせいではないけどな。
A:名前の真ん中ティンティンのくせに。
B:おいやめろばか。
A:ごめんごめん。
B:なんだっていいんだよ、ラーメンとかタクシーとかスポーツとか。王道のキーワードでいけないもんかね。
A:そういう陳腐なものから新時代の笑いは生まれないだろ。
B:わるかったよ。お前が言うな、てのもあるけどな。
A:ええとじゃあ、ヤギ。
B:あらまビーバーみたい。
A:関係ないから大丈夫。
B:ほんとかよ。
A:流行り物とか王道に乗っかる感じではなく、エッジの利いたオリジナルの世界観を予感させなくもないでしょ。
B:なくもない、のかな。何かよくわからないけども。はい。ヤギ。
A:ヤギを飼うことにしました。エサは?
B:知らんて。にんじんとか葉っぱじゃない?
A:紙だろうよ。
B:そうなの?紙食べちゃうイメージはあるけど、エサが紙なの?
A:いいんだよ、リアリティにこだわりすぎなくて。ヤギってば紙食べるイメージあるでしょ。
B:まあ、そうね。
A:たまには良い紙を食べさせてあげたいと思ってさ。
B:ほお。
A:調べたら、ユポって紙が良いらしい。
B:えー、初めて聞いた。
A:たまたま今日、そのユポが無料で配られるらしいのよ。
B:おん。
A:市区町村から配られる書類を持って学校行くと交換してもらえるんだってね。
B:それ投票用紙だろ。
A:で、学校行ってむしゃむしゃ食べて。帰ろうって時にこの災害級の暑さじゃん。途中で体調悪くなってきちゃってさ。
B:はあ。
A:かかりつけのお医者さんとこ行ったら早期がんを発見できて改造手術して。
B:デーモン閣下じゃねえか。
A:あの人ほんと最高だよね。
B:たしかに俺も大ファンだけどさ。
A:オフィシャルのコメント見た?「本人からのメッセージ」じゃなくて「本悪魔からのメッセージ」になっててさ。
B:さすが。徹底してるから。
A:最初の文言が「グハハハハハハハ~! デーモン閣下である。」から始まるんだよ。
B:うわ最高じゃん。
A:ほんとにね。
B:待てお前、なんだかんだ最近の流行りを取り入れまくってんじゃねえかよ。
A:こんなんで何とかいけないもんかねえ。
B:そんなネタしかつくれないようじゃ、わたしも黙っちゃいないよ。
A:おえ。どしたん。
B:もうプッチンですよ。しっかりネタつくってくれなきゃ、わたしブチギレちゃうから。プッチン。
A:うわー、どえらいとこいくね。こわ。
B:いやいや、え、プッチンプリンね。システム障害で出荷止まってたけど再開しだした、てニュースあったじゃん。
A:ええ、そんなん初めて聞いたわ。
B:なんだよ、いい年こいてニュースぐらい見とけよ。
A:プーチンかと思ったわ。
B:やめろやめろ。そんなとこいくわけねえだろ。
A:消されるぞ。
B:違うんです、みなさん、もともとこんなネタ始めたのはこいつですからね。
A:はあ。俺のせいかよ。
B:いやもうこれはね、責任取ってもらわないと。
A:まったく呆れるね。恥を知れ、恥を。
B:Bye Bye Bye
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?