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新説「桃太郎」

A:最近、考察動画よく見てるんだよね。
B:あー、人気作品のちょっとした描写とかに重要な意味とか意外な伏線があるんじゃないかって独自の解釈をして楽しむやつね。
A:そうそう。俺も考察してみたんだ。
B:いいね。某海上で略奪行為を行う犯罪者集団の王様になろうとしてる服の話?
A:何言ってるかわかんねーよ。「海賊王」って言っちゃいけなかったっけ。
B:俺もよく見るからさ。
A:違う違う。『桃太郎』。
B:おー、これまた日本を代表する超メジャーな作品ですな。
A:桃太郎は室町時代にできたとされてるんだけど、七百年もの長い歴史の中で消えなかったのには大きな理由があると思うわけ。
B:それっぽいこと言い出した。
A:つまり、誰かの怨念とも言える強いメッセージなんだよね。
B:こわ。怪談みたい。
A:結論から言うよ。
B:いいね。タイパ。
A:桃太郎は〝黒を嫌う人の悲痛な叫び〟を秘めた物語だったんだよね。
B:都市伝説の人みたい。え、どゆこと。
A:ぞるだ、すく、ぜいあん。
B:言い慣れてないだろ。何言ってるのか余計わかんないから。
A:まず桃太郎といえば、きびだんごだよね。
B:急な軌道修正。はい。
A:きびだんごは「黄」色。
B:黄色か?そういや実際見たことないけど、そうなんでしょう。
A:犬は「白」。
B:犬種によるだろ。柴犬だったら茶色じゃん。
A:猿は「茶」色。
B:なるほど、これは異論なし。でももし柴犬だったら茶色……
A:雉は「緑」。
B:聞けよ。茶色問題が解決してないんだから。
A:進まないから。雉の話。はい、「緑」ね。
B:しゃあねえな。はい、そうね。雉も実は見たことないけど。
A:そして「赤」鬼と「青」鬼。
B:まあ、そのまま。
A:そして最後にお宝。「金」「銀」財宝。
B:はい。
A:ということですわ。
B:何がだよ。でも……色がいっぱい出てきましたね。
A:そうなんだよ。桃太郎にはさまざまな色が出てくるにも関わらず、ある色だけ、不自然に隠されたかのように出てこない。
B:……もしかして、黒?
A:正解。
B:うそん、出てこないっつーこたあないだろ。
A:その線を支持する理由が3つ。
B:へえ。
A:まず、あの長いストーリーの中に組み込もうと思えばいくらでもできるはずなのに一切出てこない。あやしい。
B:オリジナル版とかフルバージョンにはあったんじゃないの。
A:そして、髪とか夜とか「黒」を象徴するものは当時からいくらでもあったはずなのに、一切出てこない。あやしい。
B:見落としっていうか解釈違いだろ。
A:そして何よりの証拠。
B:おお、なにさ。
A:どんぶらこ。
B:どんぶらこ?
A:この不可解な日本語に疑問を持ったことはないだろうか。
B:たしかに。川から桃が流れてくるシーンにしか使わないことでおなじみの。
A:擬音語としても〝どんぶらこ〟なんてサウンドはしないし、擬態語としても〝どんぶらこ〟って表現にはムリがある。
B:すごいセンスだよね。あっぱれ室町人。
A:この不自然極まりない言葉こそが、最大のメッセージなんだよ。
B:なるほど、たしかにそう言われると謎の日本語だよなあ。
A:ふっ。
B:へ。
A:日本語ではないのだよ。
B:ふぁ……?
A:〝Don't black all(ドント ブラック オール)〟。つまり、〝黒、ぜんぶやめろ!〟ていう、室町時代の過激な白人至上主義の思想を表してるんだよね。
B:マジでー!!!!!
A:信じるか信じないかは、あなた次第。
B:それ言ったらもう都市伝説じゃねえか。
A:めでたしめでたし。
B:ざけんな。違うよほら、犬は「仁」、猿は「智」、雉は「勇」を表すとかそういう、なるほど系の考察かと思ったのに。
A:え、犬が「人」で猿が「血」、雉は「YOU」つまり争いの絶えない現代社会の風刺ってことか。
B:適当言うな。

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