2024.pixelartもといドット絵の背景・風景制作雑記~EDGE&Aseprite使用~
はじめに
前回ドット絵に関していろいろと書いてから1年近くが経とうとしております。
温田町子と申します。
もうすぐ2024年が終わりを迎えるため、振り返りもかねて個人的なドット絵の制作過程をまとめたり、今までに制作した作品の一部を振り返ってみたいと思います。
制作過程~日干し~
比較的直近のドット絵の制作過程です。
ここのところは色数の制限よりもドット絵でどう光の表現をするかに重きを置いて制作していました。
ですのでゲーム的なドット絵というよりは、イラスト的なドット絵のおはなしになります。
今回はこの
の制作過程を書かせていただこうと思います。
資料集め・テーマ設定
まず初めに私は何となく描きたい物事を何かしらに書き出すようにしています。
ここしばらく私はカーテンと光に関心があり、魚とカーテンのドット絵を打ってみたりしていました。
もうすこしカーテンと光を描きたいな~と漠然と考えていたため、今度は夕方ではなく朝~昼の時間帯を想定してみようと思いました。
また、魚の絵との差別化のためカーテンの描写に工夫をできないかと考え、木洩れ日もしくは木の影を入れてみようと決めました。
この辺りでいちばんやりたいこと、表現したいこと、テーマを常に意識するようにiPadなり紙なりにメモしておきます。
私は制作を進めているうちにここがブレがちなので、描きながら定期的に見返しています。
資料に関しては自身で写真を撮ってきたり、描きたいものを観察してラフをまとめたりすることが多いです。
また、手持ちの背景美術の本や写真集、絵画などを参考にしてどうやりたいことを出力するか考えをまとめたりしていきます。
個人的には資料集めや日頃のインプットはなるべくジャンルや年代などを絞らないでやったほうがいいと考えています。
そのためゲームやアニメ、イラストの他、立体作品や建築物、タイポグラフィ、動植物なども資料フォルダに分類して集めています。
また、資料はどうして資料にしようと思ったかが大事なので、丸写しになったりしないようにします(そもそも写したりそのまま真似をするのはだめなので)。
その資料のどこがいいと感じたのかきちんと自身でかみ砕くことが大事だと思います。
テーマを決め、資料をまとめたら制作に入っていきます。
構図・下地
魚とカーテンの絵が横構図だったため、今回は縦にしようかな、ということでとりあえずEDGEで縦長のキャンバスを作成しました。
大きさは108×157pixelです。
これぐらい小さいと1pixelの重みが増しつつ描きこみもできるかな、という意図です。
メインに大きく人物を入れたい場合はこのキャンバスサイズだと描きこみしづらいかもしれません。
また、何となくこんな色にしたいな~という色をパレットに16~32色で作って、光源の位置を意識してキャンバスに置いてみました。
また、私は初めから完成までマウスでドット絵を打っています。
慣れてしまっているので・・・
明るいところを黄色系、暗いところを青系にしています。
単純に色相と明度をずらしてもいいのですが、一番暗いところで黄色に色が近づくようにしたりしてみました。
色選びは各々の感性や絵の中の光源の色、時間帯など無限のパターンがあるので面白いです。
EDGEはパレット管理が楽なのが強みだと思っているのでRGBの値を色々いじって納得いく色になるまで調整します。
使わなかった色は後で一括で消せるので最初は気楽にやってみました。
構図を決めるために外からの光を白く抜いてみました。
外の光、カーテンにピックするためにシンプルな画面にしました。
また、カーテンも軽く描いてみています。
が、これから完成に至るまでなかなかシルエットが決まらず何度も1pixelを消したりずらしたりしていました・・・
この絵は一応画面外の消失点に向かってパースがかかっています。
このサイズだと正確なパースや魚眼のような特殊な構図の再現はドットの並びが荒れて効果的でないので、綺麗なドットの置き方の方に重きを置いています。
規則性を意識してドットを置くときれいになりやすいです。
光の描写
構図がおおむね決まったため、黄色~オレンジのすこし鮮やかな色でカーテンに当たる光と光に透けるレースのカーテンを描きました。
上半分中心(下地で一番明るかったところ)が光源周辺なので、まぶしく見えるように一番明るく鮮やかになるようにしています。
また、光のニュアンスやカーテンの質感を意識してドットを置いています。
色の見え方は相対的なものなので、スポイトで抜いてみると鮮やかに見える色でも以外とくすんでいたりします。
光と影の境界のオレンジのところが1pixelぐらい残るように、グレイッシュな青系の色でレースのカーテンの影を置きました。
普通のカーテンもなんとなしに色を置いています。
右側のカーテンがすこし光が透けるようにしています。
まだ明暗や色相がまとまりがなくちらついています。
色々気になりますが、描きこみながら少しずつ調整します。
また途中途中でパレットのいらない色を削除したり、並べ替えしたりしています。
木の影・色の調整
レースのカーテンに木の影を描きました。
カーテン、窓のむこうに木が植わっていて、その影がレースに落ちているイメージです。
影と光の境界部分には鮮やかな暖色を置いています。
また、木の影はレースのたゆみの影より色を薄くして青みを足しています(空気遠近法)。
同じ影でも遠近感や空気感、木の距離を感じられるようにしたいと思ったためです。
カーテンがごわごわした質感に見えたため、すこしパレットをいじってコントラストをさげています。
が、まだちょっと不自然です。
木の影もがびがびした感じで柔らかさに欠けています。
ここで作業をAsepriteに切り替えています。
一番暗い色をスポイトで拾ってその色を少し明るくします。
次に新規レイヤーを作成し、レイヤーモードを「Lighten」にして明るくした色で塗りつぶします。
レイヤーの透明度は任意です。
レイヤーモードなどで自由に色を調整できるのがAsepriteの強みですが、最初から頼りすぎると絵がうまくいかないことが多いので、なるべく自身の目で色合わせやドットの置き方の精査をし、どうしても必要になった場合にレイヤーモードや色調補正を使います。
これで暗すぎた部分だけ少し明るくなったので一応画面が落ち着きました。
また、光は丸く広がっていくので、意識しながら描きこみをふやします。
この作業でグラデーションをある程度滑らかにしています。
その後、「編集」から「色の調整」を開いて色味などを調整しました。
まだちょっと印象がぼやけています。
猫たちの追加・描きこみ調整・完成
ぼやけて見えないように少し加筆しました。
画像を縮小してみたり、白黒に変換して見たりして、明暗のバランスやコントラストを客観的にみるようにします。
また、彩度の高い黄色を足して光の眩しさを強めました。
目立たなくしたいところ、ぼかしたいところ、柔らかく見せたいところ、遠くに見せたいところには滑らかなグラデーションやアンチエイリアスを使い、境界をはっきり見せたいところや近くに見せたいところなどには、コントラストを強めつつアンチエイリアスをかけずに処理します。
ちなみに私はアンチエイリアスではなくジャギ消しと言います。
元から猫が日向ぼっこしている絵にしようと考えていましたが、何となくそれだけだと寂しかったので植物と蝶にも日向ぼっこをさせました。
蝶は窓の外に描こうかと思ったのですが、解像度などの事情で見づらく分かりにくくなるかも・・・と思い今回は蝶も一緒に室内にしました。
カーテンだけだと閲覧者の方々の目に止まるところがなさすぎるかと思い、わかりやすいメインとして身近な生き物を置いてみました。
これらはカーテンの一番暗いところよりさらに暗い色で描いて目立つようにしています。
また、今回は固有色的な表現ではなく逆光のシルエットで描きました。
光のあたるふちに明るい色を置くと逆光らしくなります。
また、カーテンにポイント的に加筆したり、空気中に舞うチリを描き足したりしています。
1pixelのハイライトや反射光の追加で絵の完成度が大きく変わったりもします。
さいごにもう一回色調補正やコントラストの調整をして納得したら完成です。
反省点はいくつかありますが、最初にやると決めていたこと、やりたかったことは概ねできたかな、と思います。
終わりに
やりたいことによって構図や色の使い方、キャンバスサイズなど無限の選択肢があります。
これが正解というのもないので、私も自分なりに納得できるものが制作できるように精進していきます・・・。
これからも考え方が硬くならないように様々なテーマや構図、色使い、キャンバスサイズで制作してみたいです。
また、ちがう描き方のドット絵やGIFを制作した場合にはnoteにまとめたいと思います。
長くなりましたがここまでお読みいただき大変ありがとうございます。
おまけの振り返りたち
5年以上前のから今年のものまで一部修正しました。
また、xに上げたものより高画質になっています。
簡単に振り返りつつ反省しつつ・・・
よく見ると人がいます。
怖い!恐い!
このころから空気感や温度感、境界や光への関心をかんじます。
奥に人?がいます。
その影の色が結構お気に入り。
結構キャンバスサイズが大きめです。
重機大好き
色々な重機、描きたい・・・
今回ここに再掲するにあたり、人のハイライトと肌色などを加筆修正しました。
パースはほとんどないです。
質感と固有色に重きを置いています。
この解像度でもビールの箱のメーカーがわかる・・・
ロゴの力ですね。
レタリングは楽しいです。
タバコ屋の絵に比べると全体の統一感を優先しています。
床の反射が気にいっています。
また加筆や、画像の追加をするかもしれないです。
よろしくお願いいたします!
https://twitter.com/8104108onon